42歳で「環境ベンチャー」妄想を叶えた彼の情熱 NYで上場を目指すJEPLAN、岩元会長に話を聞く
そもそも循環型社会は、リサイクルの技術があっても、いらなくなったものを回収するモデルがなければ成立しない。
回収には、企業や消費者の参加が欠かせないのだ。創業当初、名もなきベンチャーの岩元さんは「いろいろな人に思いを熱く語り続けても、なかなか相手にされなかった」という。
しかし、2009年に経済産業省の外郭団体のリサイクル調査事業に採択されたことが突破口に。多くの大企業を巻き込んだ調査で「小売店の店頭で衣料品を回収すると、集客と売り上げの両方にプラスの効果がある」という結果を得た。
つまり、消費者はリサイクルを望んでいて、小売店で回収すれば来店し、ついでに必要なものを買う。企業と消費者の双方にメリットがあるというわけだ。
JEPLANのビジョンと調査結果に賛同した企業が、いらなくなった衣類などを店頭で回収する同社のリサイクルプロジェクト「FUKU-FUKUプロジェクト(現・BRING™)」に参加するように。
今では良品計画やGU、アルペン、アダストリア、高島屋など業界の垣根を越えて約200ブランド、店頭回収は全国4700拠点以上にのぼる(2023年12月5日時点。スポット回収も含む)。
「服から服をつくる」アパレルブランド
さらに2018年、同社は回収プロジェクト名の「BRING」を冠して、「服から服をつくる®」サーキュラーエコノミーを社会に実装するアパレルブランドを立ち上げた。自社の再生ポリエステル樹脂を原料に使用したオリジナルアイテムを、東京の恵比寿と高尾山のふもとの2つの直営店舗、および公式オンラインストアで販売している。
「こだわっているのは、ファッショナブルかつ機能性が高いこと。丈夫で型崩れしにくく乾きやすいポリエステルなのに、綿のような風合いがあるTシャツやデニム風のパンツ、アンダーウェアなどが大好評です。店頭には不要な服の回収ボックスがあり、オンラインで購入いただくと回収封筒がついてきて、不要な服を一着送付できます。このような仕組みがあれば、回収と購入がセットになり、資源の循環を自然にできます。返送された封筒に『手軽にリサイクルできてうれしい』などと手紙が入っていることもあるんですよ」と岩元さんは手応えを語る。
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