岸田首相、安倍派一掃でも変えられない派閥政治 「死人に口なし」で捜査の標的は歴代事務総長に

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その中で、自民党内に複雑な波紋を広げたのが、萩生田氏の言動だ。同氏は人事に先立つ11日、「(安倍派所属の)閣僚や副大臣が辞めなければならないのであれば、政調会長の責任も、同等あるいはそれ以上に大きなものがある。(人事は)首相の専権事項だが、出処進退については自分で決めたい」と記者団の取材に応じ発言したという。

そもそも、安倍派の次期会長候補の本命とみられてきたのが萩生田氏。それだけに自民党内には「岸田首相の安倍派一掃という方針に異議を唱え、『安倍派は反岸田に回る』と脅しをかけた」(自民長老)との憶測が飛び交う事態となった。

「進退は自分で」との萩生田発言の複雑な背景

ただ、萩生田氏はこの発言に先立って10日に岸田首相と会談している。萩生田氏自身もこの会談について「首相から『税制、予算と大切な仕事を目の前にしてしっかり対応してほしい』と言われた」と説明しており、官邸サイドから「双方が互いの立場を理解し合ったうえでの、萩生田氏の政治的パフォーマンス」との声も漏れてくるなど「今のところ真相は不明」(閣僚経験者)だ。

ただ、麻生副総裁と並ぶ岸田首相の後見役とみられている森元首相は地元紙のインタビューで、「安倍派の結束維持には萩生田派への衣替えが必要」との趣旨の発言をしている。このため「安倍派の分裂・解体を恐れる森氏が仕掛け、岸田首相にも伝達済み」(森氏周辺)との声も出るが、現状をみる限り「まさに百鬼夜行の闇試合」の様相を濃くしている。

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