幸楽苑「290円ラーメン中止」でどうなった? 主力を「520円」に切り替え客単価は上昇
順次導入店舗を増やしてきた「醤油らーめん司」は、4月時点で来店客の12~13%が注文するようになっている。これを、20%強に引き上げ、主力商品に育成する構えだ。さらにセット販売の推進などでチャーハンの注文率も30%、ギョーザ注文率50%を目指す「20・30・50」戦略を進める。客単価を2015年に670~680円(前期末633円)に引き上げる計画だ。
だが客単価アップだけでは、収益力の向上は限定的だ。幸楽苑の構造改革、最大の関門は“赤字店舗の削減”という難題にある。
同社の2015年3月期決算は、営業利益が前期比10%減の8.1億円となった。円安に伴う食材費の上昇や、アルバイト・パートの時給高騰が重荷となり、営業利益率は2.1%(前期2.4%)に沈んだ。
一方のライバル、中華食堂「日高屋」を運営するハイデイ日高を見ると、2015年3月期の営業利益は同8.3%増の40.5億円。営業利益率も11.8%(同11.7%)と、幸楽苑は大きく水を開けられている。これは両社の商品構成(日高屋は好採算であるアルコール比率が高い)や正社員比率、工場生産効率など経営方針の違いによる要因が大きいが、収益力が下降の一途をたどってきた幸楽苑としては抜本的な構造改革が不可欠と判断した。
赤字店舗削減に注力
収益力低下の最大の要因は赤字店舗の多さだ。ここ3年間で全約500店の2割前後に達しており、2014年3月期は128店と全体の25%にも及んだ。前期は94にまで減らしたが、それでも全体の18%が赤字のままだ。
ここまで赤字店舗が増えてしまった原因は、出店基準のあいまいさにある。ある範囲に高密度で出店するドミナント戦略で、新規出店地区を関東と東北に限定したが、商圏が大きな千葉県や埼玉県が結果的に増えてしまい、自社競合による食い合いも発生していた。
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