《日本激震!私の提言》国民が日本再生を担う復興債と復興税を財源に--伊藤元重・東京大学大学院教
■国民が買う割引国債と将来につながる復興税を
--復興のための財源案は。
言わずもがなであるが、まず、民主党のマニフェストを全部白紙に戻すこと。そこから与野党の協議が始まる。子ども手当や高速道路無料化などについては、復興の緊急性と比較すればおのずと結論が出る。
提案したいのは復興債の発行だ。今、国民は日本の再生のために何かしなくてはならないという気持ちを強くしている。その気持ちを一つの方向に向けるのは政策の力だ。復興債を長期の割引国債とし、10年、15年持ってもらう。国民が復興に参加しているという意識を持つことも重要だ。
ただ、これだけでは足りないので、復興税が必要になってくる。当面は復興を目的に使われるが、それが将来に生きるというような税体系がありうる。一つの案は、この機会に消費税率を5~10%引き上げて復興税とし、復興後は社会福祉の財源に回していく方法。もう一つの案はいわゆる炭素税で、これは将来、環境税に変えていくことができる。中長期で見ても、電力は不足してくるので、そのコストを意識してもらうためにも有効だ。
復興資金は十数兆円規模の金額になるが、数年をかけて出すものであり、日本には1400兆円の個人金融資産があるので、調達できない数字ではない。消費税率を1%引き上げれば2・5兆円の税収が生まれる。その意味で追い詰められているわけではないが、市場の目は厳しいので、財政は正しい方向に収斂していくという道筋を示すべきだろう。
破壊されたインフラの復興には財政資金が必要だが、民間の資金を動かすための工夫も必要。減税措置などをうまく使って、民間のおカネが回るようにしていくことだ。