UUUM創業者が顧問退任へ、深まった会社との軋轢 身売りからわずか3カ月、かつての求心力は失墜

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「鎌田氏はUUUM社内での求心力をとうに失っており、退任しても大した影響はないだろう」。UUUMの実情に詳しい業界関係者はそう指摘する。

複数の関係者によると、そもそも名誉顧問の就任は、鎌田氏側が持ちかけたのがきっかけだったという。ところが報酬などの条件面で鎌田氏側の要望と折り合いがつかず、正式に就任する前の9月中旬時点で、年内いっぱいの契約とすることが決まっていた。「むしろUUUM経営陣にとっては、完全に関係が切れたほうが業務もやりやすくなるはず」(前出とは別の業界関係者)。

カリスマ的存在だったはずの鎌田氏が求心力を失ったのはなぜなのか。

始まりは、2021年10月の週刊誌による鎌田氏の不倫報道にさかのぼる。当時、会社側は「記事内容について、おおむね事実であることを確認」とのリリースを出し、代表取締役社長であった鎌田氏は翌年7月までの役員報酬を全額返上する事態に。プライベートの問題とはいえ、コロナ禍での不祥事に、社内の一部では鎌田氏に対する不信感が高まっていた。

2トップ体制下で混乱も

2022年6月には会長に退き、新社長の梅景匡之氏と2人で代表職を担う体制へと移行した。その後の業績悪化が、求心力の低下にさらなる追い打ちをかけることとなった。

収益柱であったアドセンス収入が落ち込む一方、2トップ体制下で指揮命令系統に混乱が生じたことも相まって、ビジネスモデルの再構築に苦戦。2023年5月期には上場以来初の営業赤字に転落した。「代表取締役として残りながらも、新たな収益源となるビジネスを打ち出せない鎌田氏の素質が疑問視されるようになった」(業界関係者)。

今年6月に鎌田氏が代表職から退いたのも、こうした社内事情が関係していたとみられる。

そしてフリークアウトへの身売りが決まった後、さらに同氏への信頼を失墜させる出来事が起きる。

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