カドカワ本発売中止も…LGBTQ炎上論争の現在地 2023年の議論から展望する、日本の性的マイノリティ受容性

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現在の論点はどこにある?

KADOKAWAのトランスジェンダー関連書籍の刊行停止については、タイトルやキャッチコピーが当事者を傷つけたことが理由として説明されている。内容ではなくタイトルやキャッチコピーが不適切との理由で刊行停止をすることに対して、疑問を持つ声も少なからず出ている。

日本において、LGBTQをどう受容していくかというのは、現時点では社会的合意には至っていないと言えるだろう。

現状出ている論点を整理すると、下記のようになる。

1.LGBTQという多様性、またその権利を認めるのか否か
2. マイノリティーの権利を認めることで、マジョリティーの権利が侵害されるのではないかという懸念
3. (多様な性的指向は尊重されるべきだが)マイノリティーの存在をことさら擁護したり、クローズアップしたりする必要があるのか否か

1に関しては、2022~2023年にかけて、LGBTQに対する不適切な発言が批判を浴びたことを鑑みると、日本では受容されてきていると言ってよいだろう。

いま問題となっているのは、2、3だ。

ジェンダーレストイレ廃止や、女湯に男性が侵入した問題は、マジョリティー、特に(生物学的分類上の)女性の権利が侵害される懸念を顕在化させるに至った。

このことは、性的多様性に対して寛容な考えを持つ人たち(筆者も含めてだが)も懸念するところだ。また、ジェンダー問題に限らず、日本では、権利を声高に主張することに対して否定的に捉える人も多い。

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