円ウオッチャー、「トリッキー過ぎる」市場で身構え 混乱状態の中で、一部の投資家は傍観を余儀なくされた

拡大
縮小

スクリーンにくぎ付け

FPマーケッツのアジア太平洋最高経営責任者(CEO)、ニック・トウィデール氏も、さらなる変動に備える投資家の一人だ。相場が展開する間、同氏はシドニーのブリッジ・ストリートにあるオフィスでパソコンの画面にくぎ付けになっていた。同社のトレーダーらは、欧州の動きを注視して7日夜遅くまでオフィスに詰めていた。その時、円が一段と上昇し多くの投資家がパニック的な買いに加わった。

「このような相場の動きで取引するのはあまりにトリッキーで、流動性ギャップにぶつかった」と、市場歴26年のベテランの同氏は語った。「デスクにいれば、注文を埋めるだけだ。1日に4%もの値動きがあると、双方向の価格を出すのはとても難しい」と話した。

ドル・円相場は7日のアジア市場で147円台前半で取引を開始した後、ニューヨーク市場で141円71銭まで急落した。円はその後上げ幅を縮めたが、アジア時間8日に再び上げ、一時1.1%高となり142円台を付けた。東京時間午後4時22分は1ドル=144円35銭。

オプショントレーダーらは、ジェットコースターのような展開に投資家は「混乱し確信が持てない」状態になっていると話した。

ヘッジファンド、K2アセット・マネジメントの調査責任者、ジョージ・ブーブラス氏のように、マーケットの動きを遠くから見守ることを選ぶ市場関係者もいる。

投資歴30年のベテランの同氏は「私は傍観することにした。市場は日銀の政策転換という大きなテーマについて、1カ月ではなく1日で取引してしまった。同じような動きは恐らくまだ何回もあるだろう」と述べた。

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT