「アフリカに服送るな」怒る男に学んだお金の本質 アパレルブランド「CLOUDY」代表に教わったこと

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彼の名前は、銅冶勇人(どうや・ゆうと)。小説『きみのお金は誰のため』でキーパーソンの堂本として登場している。

「堂本くん、遊びに来たで」
ボスが大きな声で呼びかけると、その男はこちらを向いて、「ちわっす」と陽気に答えた。
堂本と呼ばれた男は、小麦色に焼けたツヤのいい肌に、整えた口ひげをたくわえている。ひげのせいで40歳くらいにも見えるが、20代かもしれないと優斗は思った。
『きみのお金は誰のため』121ページより

現在38歳になった銅冶さんの風貌はこの小説のとおりだが、就職面接にきたときは口ひげを生やしてはいなかった。

働きながらアフリカ支援のボランティア

面接のときは、もう会うことはないと思っていたが、それから1年たった4月、彼と会社で再会した。なんと、営業職で採用されていたのだ。相変わらず、マッチョな体で優しい目をしていた。

当時、僕が扱っていた金融商品は複雑なデリバティブ商品。営業の彼は、もちろん金融商品の特性を理解する必要があるのだが、そういうことが得意なタイプではなかった。ただ、彼の熱心で誠実な姿勢には好感が持てた。

一緒に働くうちに、意外な一面も見えてきた。彼は長期休暇をとるたびに、アフリカに行って学校建設の手伝いをしているのだ。たまにボランティアで参加するのではなく、休みをとるときは、必ずアフリカに行って、現地の子どもたちの支援活動をしていた。

銅冶氏と、彼が経営する工場で働く人たち(画像提供:銅冶勇人氏)

そして、彼はいつも言っていた。

「アフリカには、服を寄付しないでくださいね」

このとき、彼から聞いた話は、そのまま小説にも使わせてもらった。

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