ブラジル石油の汚職、日本企業に損失飛び火

現地は終結宣言したが、長期展望に暗雲も

三菱重工など5社連合が30%出資する、大手造船会社エコビックス・エンジェビックスでは、日本からの技術移転が難航し、以前から建造の遅延が続いていた。そして今回、セッチブラジルからの支払いが滞ったことを引き金に、三菱重工は全出資額に当たる、推計100億円弱を損失処理したのである。

やけどを負ったのは、造船・重工会社だけではない。プラントエンジニアリング大手の東洋エンジニアリングも、合計230億円の関連損失を計上し、2014年度は最終赤字へと転落してしまった。

同社はペトロブラスから発注を受けた、洋上原油処理設備の基本設計に不備があり、契約変更を要求。しかし汚職事件の影響で担当者の対応が鈍った。「今年2月に火を噴いていることに気づき、慌てて役員を派遣した」(中尾清社長)が、すでに手遅れだった。

損失の回収は難航する見通し

2015年12月を予定していた完工は2016年9月になる見込み。工事遅延により固定費の負担が大きくかさむほか、製造設備であるヤードの固定資産も減損処理した。東洋エンジはペトロブラスに対し、損失請求をしているが、回収は難航するとみられる。

これ以外の日本企業もペトロブラスのスキャンダルで痛手を被った(上表)。いずれもブラジル国営という信用力を背景に、巨額投資に踏み切ったものの、実態は汚職にまみれており、日本企業ははしごを外された格好だ。

2014年3月に第1次逮捕者が出た、ブラジル連邦警察の汚職特別捜査“ラバ・ジャット(洗車)”作戦は、1年余りで第11次作戦まで展開。主要な元幹部を追放したことで、2015年4月にルセフ政権は汚職問題の終結を表明した。

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