M7級の大型地震でもフィリピンが騒がない理由 震源地が首都から遠く被害報告も少ない、高まらない関心

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報道量は、テレビ番組をときに中断して仔細に情報を伝える日本とは比べるべくもない。

先月17日にもミンダナオ島西ダバオ州沖合でM6.8の地震が発生し、11人が亡くなったが、地元メディアの続報は少ない。今回も発生後の報道はNHKなど日本メディアやロイター、AP通信といった外国通信社の報道の方が迅速だった。

自然災害に対する国民の諦念

フィリピン政府の地震観測体制が脆弱で、国民に十分な情報提供ができないことに加え、メディアの体制にも問題がある。報道機関はマニラ首都圏に一極集中しており、ミンダナオ島など遠隔地での被害には鈍感だ。

経費面もあって現地に記者やカメラマンを派遣する新聞社などが限られている。さらに言えば記者や編集者だけではなく、読者や視聴者も直接揺れを感じない限り関心は薄い。日本のように災害後に、団体に属さないボランティアが週末に現地に駆け付けるといった話もほとんど聞かない。

地震に限らず、台風や火山の噴火などで世界規模の災害が相次ぐフィリピンでは、国民に一種の諦めがあるようにも感じる。災害は防げるものでなく、運命との受け止めだ。

今回の地震も、実際に被害が少なかったことを祈るばかりだ。

柴田 直治 ジャーナリスト、アジア政経社会フォーラム(APES)共同代表

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しばた・なおじ

ジャーナリスト。元朝日新聞記者(論説副主幹、アジア総局長、マニラ支局長、大阪・東京社会部デスクなどを歴任)、近畿大学教授などを経る。著書に「バンコク燃ゆ タックシンと『タイ式』民主主義」。

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