ブラジャーの常識を壊したヌーブラの超発想 ユーザーの「矛盾する願い」をかなえよ!

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まず、ひとつ事例をお伝えしますね。ヌーブラです。ヌーブラとは、肩ひももアンダーベルトもない、バストに張るだけのブラジャーです。

「ヌード感覚で着けるブラ」でヌーブラですね。2003年の日本上陸後、わずか3年間で100万個の売り上げを記録した大ヒット商品です。

従来のブラジャーは、皆さんご存じのとおり、肩ひも、アンダーベルトがついたものでした。

帰宅後すぐにすることとして、「ブラを外す」と答える女性は少なくありません。ブラジャーによる体の締め付けがストレスになっているのです。また、ドレスや肩を出した服を着るときに、ブラジャーの肩ひもが見えてしまうのも気になるようです。

ほかにも、中高年の女性はブラジャーの締め付けによって「ハミ肉」と呼ばれる、脇や背中でお肉がブラジャーからはみ出して見える状態を気にする割合が高くなります。また、従来のブラジャーは、前かがみになるとブラジャーと胸のすき間が気になるなどのストレスもありました。

女性にとっては、人前で女性らしい身なりをするため、透けて乳首が見えてしまうのを防ぐため、当然、ブラジャーは必需品ですが、結果的に締め付けによるストレスが生じます。ストレスを回避したくてもブラジャーを外して外出はできません。

ここにトレードオフが生じていました。

ヌーブラは「ブラジャーには肩ひもとアンダーベルトが付属するもの」という固定概念を覆し、「付属物がなく乳房の上に着けるだけ」のブラジャーを作りました。

ヌーブラは、肩ひもとアンダーベルトをなくすだけでなく、内側はウレタン、外側はポリウレタンを利用して軽さを実現し、ブラジャーだとわかる縫い目もなくすなどの工夫を凝らし、女性をさまざまなブラジャーによるストレスから解放することで、トレードオフを超越しています。

従来のブラジャーの前提は「肩ひもとアンダーベルトが付属する」というものでしたが、ヌーブラは「付属物がなく乳房の上に着ける」ものです。前提自体を、変えてしまったのです。

ヌーブラは何の固定概念を覆したのか

前回、トレードオフを発見するためには固定概念を覆すことが必要だとお伝えしました。「大きな胸を小さく見せるブラ」を事例としてご紹介しましたが、それは従来のユーザーが持つ「女性の胸は大きいほうがいい。大きく見せたい」という固定概念を覆しています。発見するには「ユーザーが持つ固定概念」に注目する必要があります。

一方、発見したトレードオフを乗り越えるアイデアを作るためには、何が必要でしょうか。それが、「アイデアの作り手が持つ“解決策に対する固定概念”」を覆すことです。

ヌーブラが覆した固定概念は、解決策に対するものです。女性らしい身なり、服の上から乳房が見えないようにということは解決するものの、締め付けや「はみ肉」などは解決できない従来のブラジャー(従来の解決策)に対する固定概念を覆しました。

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