ブラジャーの常識を壊したヌーブラの超発想 ユーザーの「矛盾する願い」をかなえよ!

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トレードオフが解消されないままになっているのは、ほとんどの解決策が同じ前提に基づいて作られるためです。言い換えると、同じ固定概念に基づいて解決策を作り出しているからです。固定概念を覆して解決策を作り出さなければ、トレードオフは越えられません。

ユーザー自身が持つ固定概念を打破することは、ユーザー・バイアス・ブレークと呼ぶことができます。一方で、作り手が持つ解決策に対する固定概念を打破することは、ソリューション・バイアス・ブレークと呼ぶことができます。

今回はソリューション・バイアス・ブレークについて話を進めます。

業界にはびこる固定概念をひっくり返したフィットネスクラブ「Curves」

さらに事例を見ていきましょう。フィットネスクラブのCurves(カーブス)です。「女性だけの30分体操教室」をうたったCurvesの看板を街で見かけたことはあると思います。フィットネスクラブとしては小規模な場所で運営されているのに気づくと思います。

従来のフィットネスクラブは、豪華なスタジオ、高度なマシンの数々など、本格的に運動する人に向けて造られていました。

一方で、運動をしたい人は、本格的に動きたい人ばかりではありません。運動が得意でなくても、誰しも手軽に、気軽に運動したいという気持ちはありますよね。

ここにトレードオフが生じていました。「気軽に行きたい」と思っても、運動に慣れてない人には「気軽に」行けないのです。「うまく動けず、周りの人から浮かないか?」と思うわけです。

また、たくさんの見知らぬ人と同じ空間に入るため、スポーツウエアも気にしなければなりません。「鍛え上げられ、引き締まった人たちの中で浮かないか?」と、そもそもやせるために行きたいのに、やせてないと行くのが恥ずかしいという気持ちさえ生じてしまいます。

「気軽に行きたい」という気持ちと「周囲の人には格好悪いと思われたくない」が、トレードオフの関係にあったのです。特にこのトレードオフは、身なりややせているかどうかを気にする人の割合が男性より圧倒的に多い、女性が抱えていました。

そこでカーブスは、「フィットネスクラブは本格的に運動を行う場所。運動に慣れた人がたくさんいる場所」という固定概念を覆し、「簡単・手軽な運動を行う」フィットネスを創造しました。

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