ESMCの設立に関して、ドイツ連邦カルテル庁は主に2つの面から審査を行った。第1に、ヨーロッパの3社がESMCに参画することで、3社以外の顧客の半導体調達に与える負の影響がどの程度あるか。第2に、ESMCの設立により、競合のファウンドリーが特定の製品に関して十分な顧客を確保できなくなる可能性がどの程度あるかだ。
その結果、連邦カルテル庁はこれらの懸念に対して「心配する必要はない」との判断を下した。その根拠として同庁は、ESMCと同業のアメリカのグローバルファウンドリーズが、同じドレスデンに大型工場を構えている(ため、ESMCが独占的サプライヤーにはなり得ない)こと、世界の半導体の供給能力および需要は着実に拡大しており、ESMCの競合企業が顧客を見つけられなくなる理由は見当たらないことなどを挙げた。
2027年末の生産開始目指す
TSMCは、ESMCの新工場に回路線幅22~28nm(ナノメートル)の平面CMOS(相補性金属酸化膜半導体)および同12~16nmのFinFET(3次元構造の電界効果トランジスタ)の製造技術を導入し、12インチウエハー換算で月間4万枚の生産を計画する。それにより、現地に2000人のハイテク技術者の新規雇用が生まれると見込む。
工場の建設工事は2024年後半に開始し、2027年末の生産開始を目指している。TSMCはヨーロッパ以外でもアメリカのアリゾナ州と日本の熊本県に新工場を建設中で、中国本土でも江蘇省南京市の既存工場の拡張工事を進めている。
(財新記者:杜知航)
※原文の配信は11月8日
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