三菱電機が「20年ぶりの大規模事業改革」に本腰 かつての「電機業界の優等生」が抱く危機感
成長の牽引役は、収益性の高い欧米向け空調機器。キーワードは「ヒートポンプ」だ。
ヒートポンプは空気中にある熱エネルギーを集めて圧縮し移動させる技術で、室内の熱を外に移動させると冷房になり、外気にある熱を室内に送ると暖房になる。エネルギー効率が高いのが特徴で、化石燃料を燃やす以上の熱量を得られる。
日本の家庭用エアコンは、ほとんどがヒートポンプ式だ。しかも全館の空調をまとめて制御する方式ではなく、室内機と室外機を部屋ごとにつないでいる。
欧米では日本とは異なる空調方式が中心だった。それが、脱炭素化やエネルギー価格高騰などを背景に、エネルギー効率が高く部屋ごとに空調を制御できる「日本式」への需要が高まっている。
構造改革に向けて重い腰を上げた
「新事業や技術への関心は高いものの、経営や構造改革に興味のない経営陣が多かった」。三菱電機のあるOBは、これまでの経営陣が優秀な技術屋ではあったものの経営を行うという感覚に乏しく、構造改革への腰が重かったと指摘する。
だが、その空気は変わりつつある。「『黒字であればいい』『投資回収ができればいい』という考えではなく、資本コストを上回っているのかで意思決定する」。漆間啓社長はこれまでの投資家説明会でそう述べている。
かつては「電機業界の優等生」といわれた三菱電機。2021年に発覚した品質検査不正問題への対応も一段落ついた。成果が見えるのはこれからだが、今まで手をつけていなかった改革に向けての一歩は踏み出した。
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