都市部でも進む「路線バス廃止・減便」の大問題 給料安く負担大、運転士不足に陥るのは当然だ

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ちなみにここで参考にした大手私鉄系バス会社の中には、その前に鉄道会社から分離独立した事業者もいくつかあった。たとえば大阪市が参考にした南海バスは2001年に、南海電気鉄道から分離独立している。

鉄道会社がバス事業を分社化する理由として多いのは、バスは鉄道に比べて利用者数に対する人件費の割合が大きいので、同じ賃金体系とすると会社の運営が厳しく、分社化することで賃金体系を変えたいというものだ。

同じように人件費を理由として、公営バスの民営化も進んだ。大阪市も例外ではなく、2017年に大阪メトロ(大阪市高速電気軌道)の子会社として大阪シティバスが誕生している。

利用者自身の問題でもある

つまりそれ以前から、バスの運転士の賃金は分社化などにより引き下げ基調にあったが、大阪市の決断を機に加速したのではないかと見ている。市と府の違いはあれど、その流れが同じ大阪で、バス会社の事業廃止という事態に発展したのは皮肉である。

しかし一連の流れを、国や自治体や事業者だけの責任とすべきでないことは、ここまで読んでいただいた読者の一部は感じておられるだろう。

公共交通に限った話ではないが、過度なお客様第一主義を改めていかないと、さまざまな業界が行き詰まるのではないだろうか。バスを使う一人ひとりが考える問題でもある。

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森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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