都市部でも進む「路線バス廃止・減便」の大問題 給料安く負担大、運転士不足に陥るのは当然だ
運転士不足の理由の1つに挙げられているのが、2024年4月以降、トラックやタクシーを含めたドライバーの年間時間外労働が上限960時間に制限されることだ。金剛バスについても、運転士を増やさないと運行ができない状況だったという。
さらには新型コロナウイルス感染症の流行で離職した運転士が戻らなかったことや、その後の外国人旅行者の急回復で観光バスの運転士需要が高まり、待遇のよいそちらに流れていることもあるという話も聞く。
これまでは主に地方で、人口減少や高齢化が進んでいて、ドライバーのなり手がいないという報道が多かった。それだけに、大阪府のバス会社が事業廃止というニュースに驚いた人もいたようだが、実は東京23区でも、路線バスの廃止や減便は多くなっている。
都心部でも進む路線の廃止・減便
筆者の自宅近くにある中野区の南部高齢者会館とJR東日本・東京メトロの中野駅を結ぶ路線は、それまで7時から19時まで1時間1本だったのが、2019年2月から朝夕3本ずつだけになると、今年3月のダイヤ改正で路線そのものが廃止となり、バス停も消滅してしまった。
少し離れた場所にバス停はあり、そこは日中でも10分に1本のわりで便があるのだが、運転免許を返納した人も足を運ぶであろう高齢者のための施設に向かうバスが、路線もろともなくなったというのは衝撃だった。
気になって調べてみると、最近東京都内で減便や路線廃止となった路線がいくつかあることがわかった。路線バスに乗ると、必ずと言っていいほど運転士募集の広告を目にするが、それでもあまり集まらないということなのだろう。
運転士不足は意外なところでも影響を及ぼしている。
石川県の北陸鉄道は、鉄道路線のうち金沢市から南へ向かう石川線について、少し前から鉄道のまま残すか、BRT(バス高速輸送システム)に転換するかという議論が続けられていたが、8月末に鉄道として存続させるという方針が出された。
理由として挙がったのが、BRTに転換した場合の運転士不足だった。鉄道での存続が難しければバスに転換という常識は、通用しにくくなっているということになる。
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