「捨てる深海魚」に蒲郡市が編み出した"旨味" メヒカリ、白ムツ、ニギスを使ったフライの味は

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メヒカリの唐揚げ。骨ごと食べることができるので栄養価も高い(写真:まんてん.)

メヒカリの唐揚げを地元の食文化として遺したいと思い、まずは小中学校の給食の献立として提案した。給食センターで働く栄養士はメヒカリについて知らなかったため、採用されるまでに時間がかかったが、逆においしくて栄養価も高いという評判が広まるのも早かった。

採用した栄養士から口コミで広がり、現在は愛知県内の小中学校の給食で提供されるメヒカリの唐揚げとフライの約8割を担っているほか、関東から関西までの小中学校にも提供している。

2017年にはオイルサーディンをヒントに「メヒカリ油漬け」を、さらに翌2018年には地元の三谷水産高校とともにメヒカリのアラを使った魚醤「深輝」を開発。SDGsにもつながると注目を集めている。

水族館は深海魚をメインにリニューアル

一方、2010年、「竹島水族館」は来館者数が過去最低の12万5000人にまで落ち込み、廃館の危機を迎えていた。しかし、当時一飼育員だった館長の小林龍二さんのアイデアで深海魚の展示をメインにしてリニューアルを図ったところ、翌年の来館者数は20万人まで跳ね上がった。

「竹島水族館」の小林龍二館長(右)。「がまごおり深海魚まつり」では実行委員長を、「まんてん.」の黒田孝弘社長(左)は事務局長を務めた(筆者撮影)

そこに着目したのが蒲郡市観光協会だった。「深海魚のまち」を宣言し、市内の飲食店や宿泊施設、海産物の土産物店、水産加工業者などとともに「まちじゅう食べる水族館プロジェクト」を企画した。

これは蒲郡市内の漁港で水揚げされる魚介類を知ってもらおうと、参加店の店頭に手書きの「お魚紹介カード」を設置し、まちじゅうを水族館にするという取り組みだ。同時にスタンプラリーも開催され、大盛況だったという。

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