『会社四季報』夏号は震災影響を総力取材、企業業績への影響は?(その1)

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東日本大震災は日本に大きなつめ跡を残し、企業活動を混乱の極みに陥れた。のみならずサプライチェーン(部品の供給網)寸断の影響は海を渡り、米国経済や中国経済にも及んでいる。実際、米国の景気動向を反映するISM製造業指数は、拡大局面を示す50こそ下回らなかったが、5月は4月までのトレンドを大きく乖離して低下した。

6月13日発売予定の『会社四季報』2011年3集夏号では、総力を挙げて震災が企業業績に与える影響を取材するとともに、アンケート調査を含め多面的に分析した(震災を理由に業績予想を開示していない企業一覧など、調査結果の詳細は『会社四季報』夏号の巻末特集を参照)。

5月30日時点で、日本の全上場企業3618社の約1割超に当たる約400社が、合理的な算定ができないとして業績予想を開示していない。代替品で生産再開のメドは立ったがいまだ7割の稼働、被災工場が完全に復旧せず、ライフラインの復旧が遅れ被災店舗の再開ができないなど、理由はさまざまだ。
 
 ただ、その一方でどのようにみても東北とは縁の薄い企業が「震災の影響大きく」と予想を開示しなかったり、一方で決算発表後2週間も経たないうちに業績予想を開示する企業があるなど、製造、販売など現場の混乱を映しているといえそうだ。
 
 3月11日以降5月27日まで、震災に関連して特損や引当金を計上した企業は約1100社。全上場企業のほぼ3社に1社がなんらかの被害を受けていることになる。総額は2兆5000億円にも達している。ただし、3月期決算会社であっても、短信に「災害による特損」と明記していない例もみられ、実際の社数、総額はさらに膨らんでいるはずだ。

最も損失額が大きいのは1兆0204億円を計上した東京電力。1社だけで全体総額のほぼ半分を占めている。このほか製油所が被災したJXホールディングスや東北電力、部品供給不足で生産ができなかったホンダなど24社が、100億円を超える損失を計上している。
(会社四季報編集部)

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