「10月に住民33人が襲われた秋田」被害の実情 県の担当者は「名前を明かさないで」と懇願

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24日も相模原市でクマが目撃されており、同じ個体である可能性があるが、実際のところはわかっていない。

念のために笠倉所長は町田市と協議し、テントサイトと野外炊事場の隣にあるキャビンの利用を、11月15日まで止めることを決めた。

ただ、東京都内での今年度の目撃件数は112件(10月27日現在)で、去年の同時期と比べると少ない。

「とはいえ、奥多摩の方からクマの生息エリアが少しずつ広がっているのは事実のようです」(笠倉所長)

危機的状況でも非難の声

都環境局によると、東京は世界的にも珍しい「クマが生息している首都」だという。

今回、目撃があった南多摩地域ではクマは絶滅危惧2類に指定され、「保護上重要な野生生物種」だ。都は08年から狩猟によるクマの捕獲等を禁止している。

クマは人や農作物に被害を引き起こす動物だが、一方で繁殖率が低いため、いったん生息数が減ってしまうと回復がとても難しい生物でもある。

人的被害の多い東北地方でも、宮城県は被害の予防・軽減とクマの個体数維持の両立を目標としている。市街地にクマが現れた場合、基本対応は「追い払い」で、人的被害が差し迫っていなければ、「捕獲」はしないという。

秋田県も危機的状況のなか、クマへの対応に苦慮している。連日のように人的被害が発生しているにもかかわらず、クマを捕獲すると抗議の電話が殺到し、心ない言葉を浴びせられる。

「記事では名前を明かさないでください」と、絞り出すように語った担当者の声が胸に刺さった。

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

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