踊り場か成長の終わりか、テスラが迎える「岐路」 EV市場の競争激化、迫るBYD。カギを握る新車種
結果、稼ぐ力も低下している。2023年7~9月の営業利益率は7.6%。前年同期は17.2%だった。2021年第2四半期以降、自動車業界では極めて高い2桁の利益率をたたき出してきたが、9.6%と大台を割り込んだ4~6月からもう一段、利益率が悪化した。
今四半期には生産効率化のための改修工事で一部工場の生産ラインを一時的に停止した影響があったほか、新車種「サイバートラック」の量産に向けたパイロット生産の費用がかさんだこと、研究開発費を前年同期比58%増やしたといった事情もある。
もっとも、車載バッテリーのコストが高いEVは利益を出すことが難しいとされる。既存の大手自動車メーカーのEV事業は軒並み赤字と思われる。7%台というテスラの利益率が依然、驚異的であることは確かだ。
アメリカではGM、フォード、ステランティスの「デトロイト3」が、全米自動車労働組合(UAW)のストライキを受けて大幅な賃上げをのまされた。相対的なテスラの競争力は強まる可能性が高い。
テスラを猛追するBYD
しかし、世界に目を向けるとテスラの1人勝ちの状況ではなくなっている。
世界最大のEV市場である中国で、現地の自動車メーカーが力をつけてきているからだ。その筆頭となるBYDの2023年7~9月のEV(乗用車)販売台数は43.1万台。46.6万台のテスラは完全に射程圏だ。
BYDは昨年3月にガソリン車の生産を終了し、EVとプラグインハイブリッド車(PHV)のみに絞っている。7~9月にはPHV(乗用車)も39万台販売しており、新エネルギー車ではすでに世界一といってもいい。
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