外国人が日本の「謝罪会見」を見て感じる不思議 日本人ならではのケジメの付け方なのか

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確かに、うまく謝罪会見(といいますか説明会見ですね、本来は)を行って「あっぱれだった」と褒められるケースもごくまれにあります。

最近ではKDDIが通信障害を起こした際の高橋誠社長の会見は見事だった、と言われていますが、ただ、そう言われるということは大半の謝罪会見が失敗に終わっていることの証のようにも思えます。

最近の謝罪会見が大きく取り上げられ、企業の悪い印象を増大させている要因がもう1つあると思います。それはSNSの存在です。

私の想像では、謝罪会見といわれるものの歴史はSNSよりも前からあり、その時代は、その場にいたマスコミの理解をうまく得られればなんとか「許してもらえた」のではないかと思います。

SNSで謝罪会見が難しくなった

「SNSとは何か」ということに対しては、いろいろな説明があると思いますが、「人をバッシングするための人類史上最高のプラットフォーム」という見方もできるかと思います。残念ながら。

謝罪を行う企業は、現在のわれわれは人類史上、最も広く、リアルタイムで、より辛辣な批判を受けやすい時代に生きているということを忘れてはならないと思います。謝罪会見の失敗は、その会社のブランドにとって致命的なダメージになりかねない時代なのです。

ただ日本では、謝罪会見が当然のこととして期待されてしまっているので、「不祥事の会見を開かないのか」という批判を受けてしまうことも。このプレッシャーから、会見の目的は本来なんなのか、という本筋を見誤ってしまうケースもあるように思います。なかなか、大変な時代ですね。

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デビット・ベネット テンストレント最高顧客責任者

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David Bennett

1979年にジャマイカで生まれ、カナダ国籍を持つ。カナダトロント大学大学院卒。早稲田大学にて日本語を習得、学習院女子大学大学院にて日本古典文学を学ぶ。東京でコンサルタントとして社会人キャリアをスタート。AMD社コーポレートバイスプレジデント、および同社のレノボアカウントチームのゼネラルマネージャーを務め、コンシューマー、コマーシャル、グラフィックス、エンタープライズプラットフォームなど広範な事業を手掛ける。2018年5月レノボ・ジャパン社長に就任、2022年6月から現職。古典文学が好き。

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