外国人が日本の「謝罪会見」を見て感じる不思議 日本人ならではのケジメの付け方なのか

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いったいいつからこのような慣習が定着したのかわかりませんが、むしろ「謝って済む程度のことと当事者は思っている」という解釈を生むのではないかと思いちょっと不思議でなりません。

もし、こうしたバッシングを受けている姿までが「みそぎ」と考えているならこのバッシング会見は大成功ということになりますが、どうも当事者を見ているとそうではないように思います。

欧米では「謝ることを目的とした会見」はない

では、欧米ではどうでしょうか。私はコミュニケーションの専門家ではないので、すべてを知っているわけではないことをあらかじめお断りした上で言いますが、たぶんそもそも会見を行わないと思います。少なくとも、謝ることを目的とした会見は行わないのではないかと思います。

誤解のないようにしていただきたいのは、欧米では何か不祥事を起こした際、ユーザーや株主などステークホルダーに対する説明責任を果たさない、ということではありません。

例えば製品の不具合で回収や修理が必要な場合、プレスリリースやSNS、ホームページなどあらゆる方法を通じて告知を徹底します。実際一消費者として、何かの製品不具合で迷惑を被ると一部のお金が返ってきたり、なにかのクーポンがもらえるというケースはよくみられます。ただ、必要以上に自分たちの不利益になるリスクのある会見は開かれていません。

要は「社会に対し謝罪する」という何か目的のはっきりしないことをするのではなく、当事者に対する説明とアクションが優先と判断しているのだと思います。

また、マスコミの側も事実関係を知ることができさえすればいいわけで、会見まで求めるケースはないように思います。

こうして考えると日本の社会では「謝罪している姿勢」というものに一定の価値があるのかもしれません。裏返して考えると「謝罪の仕方が悪かった」ということが起こした不祥事よりもより大きな批判を招いてしまう社会、とも言えます。

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