ヤマト「荷物減少」と「配達員3万人」契約終了で誤算 3期連続で下方修正「負の連鎖」を断ち切れるか

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今上期(4~9月期)の営業利益は123億円(同31%減)と2ケタ減益に沈んだが、コスト抑制で対応して当初計画に近い着地となった。下期(10月~2024年3月)は一転して大幅改善を見込むものの、計画修正は避けられなかった。

栗栖利蔵副社長は決算会見で「大手EC事業者はそこまでぶれないが、実店舗とECを併用する業者の取り扱いが減少した。第4四半期(2024年1~3月)にかけてさまざまな取り組みの効果が大きく出てくると考えていたが、予定の進捗になっていなかった」と説明した。

「効率化に向けた効果が出始めている」と言及しつつも下方修正したのは、前期とまったく同じ構図だ。栗栖副社長は「引き続き既存客への価格交渉、法人顧客の新規獲得を進める。コストをコントロールしながら利益を確保する。一方で構造改革は手を緩めずにやっていく」と語った。

他方、ヤマトが足元で対応に追われているのが、日本郵便への業務移管に伴う外部スタッフの処遇の問題だ。

労組結成で事業移管は波乱含み

ヤマトは6月、小型荷物やメール便の配達業務を日本郵便に移管することを決め、メール便の配達を担当してきた個人事業主・クロネコメイト(全国で約3万人)の契約終了に向けて動いている。

建交労軽貨物ユニオンはパート社員だけでなく、メイトについても再配置などの対応ができないか、交渉する考えだ(記者撮影)

職を失うメイトにとっては大問題だ。10月31日には建交労軽貨物ユニオンが会見を開き、メイトの契約解除の撤回を求める方針を明らかにした。

メイトの対応について、ヤマトは3万~7万円の謝礼金(来年1月末までの勤務継続が条件)や、就職支援サイトを用意している。サイトには郵便局や派遣会社などの求人に加えて、パソナによるキャリア支援サービスがあり、履歴書の書き方から身だしなみ、面接の受け方など、極めて基礎的なコンテンツも含まれていた。これがメイトにとって非常に不評だったという。

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