迷走の末に「解体」へ、ユニゾHDに待ち受ける試練 国内外で分離もアメリカ事業の売却は難航必至
残るアメリカ事業にもスポンサー候補のメドは立っているものの、売却完了までには難航が予想される。第一の理由は、前述した不動産価格の下落だ。不動産投資ファンドの幹部は「ユニゾHDのオフィスビルが立地するワシントンD.C.は、とりわけ利上げの影響を強く受けている」と指摘する。
実際、弁護団が地元不動産会社に売却価格の試算を依頼したところ、現在の市況ではオフィスビル6棟をすべて売却しても、現地の金融機関からの借り入れを完済できないことが判明した。これでは債権者への弁済もおぼつかない。
もう一つの懸案は、アメリカ子会社の資金繰りだ。アメリカ子会社とSPCを合わせた現預金は、10月末時点で計1300万ドルほど残っているもよう。保有ビルからの賃料収入も毎月600万ドルほど入るため、本来であれば月々の収支は黒字だ。
ところが、4月に民事再生法の適用申請を受けて、アメリカ子会社はビルの修繕費や内装費、テナント誘致にかかる費用を抑制してきた。ビルの競争力や稼働率を維持するには、これ以上投資を手控えることは難しい。今後は維持費がかさんで月々の収支が赤字に陥る見通しで、来年9月にも手元資金が底をつく可能性がある。
実質的なタイムリミットは4月
実質的なタイムリミットは、それよりも早く訪れる。アメリカ子会社が借り入れを行うにあたり、「1000万ドル以上の現預金を維持する」ことを財務制限条項に定めているためだ。現預金は来年4月にも1000万ドルを割る見込みで、その瞬間に「期限の利益」を失い、借入金の返済を求められる。
アメリカ事業の処理に手間取れば、国内事業の交渉にも支障を来しかねない。国内とアメリカを分離するにも、現地金融機関の承諾が必要だからだ。早期にスポンサー候補から売買代金を受領し、現預金の水準を保つ必要がある。
国内・アメリカ各事業の売却が無事に完了しても、旧経営陣への損害賠償といった懸案は積み残されている。解体後もなお、ユニゾHDの運命はうつろい続ける。
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