ゲイツ、坂本龍一…左利きには「天才」が多いのか 左利きにまつわるユニークなエピソードも

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ちなみに子規はさまざまな野球用語を翻訳したことでも知られますが、選手としてプレーするときは左投げであったと伝えられています。さらに子規は同い年の漱石と深い友情で結ばれていましたが、文才だけでなく、やはりお互い左利きであったことで共感しあっていたと推察したくもなります。

「左利きのため、無類の悪筆」

石原慎太郎──目をパチパチさせるチック症状の原因

そして左手で字を書く小説家といえば、政治家としても長らく東京都知事を務めた石原慎太郎です。彼の書字にまつわるエピソードも外せません。一橋大学に在学中、のちに芥川賞作品となる「太陽の季節」を文学界新人賞へ応募するにあたり「書くのはわずか2日ですんだ」ものの、「なにしろ左利きのための無類の悪筆なので、清書には三日かけて投函した」とは、本人の弁(『日本経済新聞』2022年2月2日夕刊)。

文壇では無類の悪筆で知られた石原ですが、生前、目をパチパチさせる独特なチック症状については、「学校の習字の授業で、左手で書いていると先生にムチでパーンと叩かれた」(『オール讀物』1988年12月号)ことが原因でした。

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チックについてはその多くが成人するまでに消失したり改善するといわれていますが、石原のように成人してからも残る人もいれば、ストレスや環境の変化が原因で再発したり悪化することもあります。

そして脳科学的な関心事としては、晩年、脳梗塞により後遺症が残った際、利き手である左手が麻痺し、ひらがなを忘れて使えなくなったことです。障がいが残ったのは左手なので脳梗塞が発症したのは「右脳」ですが、注目すべきは失語症も併発したことです。

左利きについては言語を司る中枢が多くの人の場合「左脳」、人によっては「右脳」ないしは「左脳」と「右脳」の両方にまたがるケースがあります。石原においては「右脳」に言語を司る中枢が存在したことを示唆しています。

ここでは日本の小説家・俳人3人を紹介するにとどめますが、国外においても、ゲーテやハインリッヒ・ハイネ、クリスチャン・アンデルセン、ルイス・キャロル、そして哲学者ではありますがフリードリヒ・ニーチェなどが左利きであったと伝えられています。

大路 直哉 「日本左利き協会」発起人

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おおみち なおや / Naoya Omichi

大阪府高槻市生まれ。滋賀県大津市育ち。左利き。早稲田大学卒業後、英国滞在中に左利き専門店との出会いがきっかけで利き手への探究心が開花。帰国後、出版関連業などに携わりつつ、左利きの関連記事や文献の発掘にいそしみ左利きに関する著作を出版。左利きにとって役立つ情報発信や総合学習への協力など、左利きと右利きが共感し合えるコミュニティづくりに取り組んでいる。
著書に『見えざる左手』(三五館)、『左ききでいこう!』(フェリシモ出版)などがある。

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