クリナップが主力ブランドのキッチン新製品発売、震災後の「復旧」アピールなるか
クリナップは6月1日、システムキッチンの主力ブランド「クリンレディ」の新商品を発売した。本来は5月中の発売を予定していたが、東日本大震災で福島県いわき市に集中する同社の主力工場が全面操業停止に追い込まれ、ほぼ1カ月遅れでの発売にこぎ着けた。同社の震災後の復旧をアピールする商品ともいえる。
「いわき市に8つある工場は多かれ少なかれ何がしかのダメージを受けたが、ものづくりの会社として操業再開を目指して全社一丸となってここまでこれた」。取締役開発本部長の小松裕恒氏は言う。
クリンレディは、1983年に「簡易施工型システムキッチン」として業界に先駆けて発売した同社の看板商品の1つ。基本プランで50万円前後という中価格帯の商品で、これまでに120万台を販売した実績を持つ。戸建てやリフォーム向けなど、”指名買い”をする顧客向けの注文販売が中心だ。
今回発売した新モデルの最大の特徴は、同価格帯の商品では初めて、キッチンの表面だけでなくキャビネット(内枠部分)をステンレス素材で標準装備したこと。一般的な木質のキャビネットに比べ、「カビやニオイがつきにくく、汚れや熱にも強い」点がウリだ。
さらに、ステンレスの材質として、レアメタルであるニッケル、クロムの含有量を下げ、スズを含有させた新素材を使用。これは、新日鉄住金ステンレスが開発した「FW1」という素材で、同社と共同でキッチン向けでは初めて実用化したという。「材質だけでなく、シンプルな設計にしてリサイクルしやすい構造」(藤原亨・開発部長)とし、環境にやさしい点もアピールする。また、新素材を採用したこともあり、木質キャビネットを使用した従来モデルとほぼ同じ価格帯(基本プランで59万8000円~)を維持している。
クリナップでは、システムキッチン、システムバス、洗面化粧台の主要商品については、ほぼ通常どおりに受注・生産できる体制に戻った、としており、今回の新製品の製造ラインについては「ほとんど無傷だった」(小松氏)という。ただ、大型プレス機が必要なステンレストップ(天板)の工場ラインは一部がまだ完全に復旧できていないため、一部に生産できていない品目があるのも事実。また、海岸寄りの立地で津波被害を受けた業務用機器の工場も、復旧のメドはついていない。
「今後は生産拠点の分散化、最適化などの検討もあわせて進めていく」(小松氏)方針だ。
(勝木 奈美子 =東洋経済オンライン)
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