給与倍増も!米自動車労組「大幅賃上げ」の波紋 賃上げ圧力は在米の日本メーカーにも波及する

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全米自動車労働組合
全米自動車労働組合のストを経て大幅な賃上げが予想されるアメリカの自動車メーカーですが、影響はアメリカに工場を持つ日本メーカーにも波及しそうだ(写真:Cydni Elledge /The New York Times)

全米自動車労働組合(UAW)が9月にストライキを決行したとき、アメリカの大手自動車メーカー幹部は、自動車業界は急速に変化しており、組合の要求によって競争力が著しく損なわれる可能性があると警告した。フォード・モーターのCEOは、電気自動車(EV)への投資を白紙にせざるをえなくなるかもしれないと述べた。

フォードとUAWが暫定合意に達した今、先行きはそこまで暗くはないように見える。この合意は、UAWがいずれゼネラル・モーターズ(GM)およびステランティスと交わす取り決めの雛形になる公算が大きい。ステランティスは、ラム・トラックスひ、ジープ、クライスラーのメーカーだ。

賃上げが競争力低下につながるとは限らない

新たな労働協約には、4年半で25%の賃上げのほか、退職手当の改善などが盛り込まれており、フォードの経費は上昇することになる。フォードのジョン・ローラーCFOは26日、追加経費が利益を圧迫し、新技術への投資を妨げる恐れがあると述べた。

しかし一部のアナリストは、今回の経費増は対処可能なものだと話す。フォードの今後にとってより重要なのは、テスラの製品に対抗できる車種や技術の設計・製造でフォードがどこまで革新的かつ効率的であるかだ、という指摘だ。テスラは、自動車業界で最も急速に成長しているEVセグメントを支配している。

「企業の競争力を損なうような合意はいっさいなされていない」。アメリカの自動車メーカーが日本とヨーロッパのライバルに敗れた経緯を検証した著作を持つヴァンダービルト大学のジョシュア・マレー准教授は、今回の労働協約にフォードが助けられる可能性さえ考えられると語った。ひとつには、EVへの集中的な移行期に労働争議が起きないということが、4年間に及ぶ今回の協約で保証されたからだ。

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