マンション購入「高い東京より地方」が要注意の訳 東京以外で資産性のある政令指定都市はどこか?

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ただし、京都市でも年間下落率が2%を超えるマンション立地ではない場所もある。北区、南区、右京区、伏見区、山科区、西京区はマンションには向いていないと考えたほうがいい。高い建物が建てにくい場所なので、戸建て立地と考えた方いい。

京都に次ぐ資産性のある政令指定都市は仙台市で▲1.84%となる。しかし、これは2011年の東日本大震災による住宅価格の高騰の影響を受けていると思われる。今後については、これまでの実績どおりの資産性を維持するかは多少疑問が残る。

3番目は広島市で▲1.87%となる。この数値は近くの岡山市の▲2.29%よりかなり高い。広島市では安佐北区以外の区はどこも2%を割り、安定した資産性を維持している。

名古屋市、大阪市は区ごとにチェック

このほか、有力都市では、名古屋市が▲2.19%、大阪市が▲2.21%、福岡市が▲2.29%、札幌市が▲2.35%、神戸市が▲2.48%となる。名古屋市の中では資産性が低い区は緑区、名東区、守山区の順でマンション購入には向いていないので、気をつけたほうがいい。

大阪市では区ごとの差が大きい。資産性が最も高いのは福島区で▲0.58%、次いで西区の▲0.98%でここまでが1%を切って非常に優秀である。とくに、駅近のランドマークとなるタワーマンションの資産性は高く、ハズレが少ない。一方で、先ほどの住宅ローンの元本返済率である年間2.7%以上になる東淀川区、生野区、住吉区、住之江区はマンションを購入するのは控えたほうがいいだろう。

福岡市もマンション立地は特定の場所に決まっている。年間下落率2%を切るのは、博多区、中央区、南区で、マンション買うならこのアドレスをはずさないほうがいい。その他の区は2%台後半になるので、この3区とかなり資産性が異なり、雲泥の差となる。

こうして見てきたように、地方都市でもマンションの資産性があるエリアが存在する一方で、買ってはいけない立地もある。

資産性とともに大事な視点は適正な価格なのかどうかだ。新築でも中古でも、同じ駅での中古の売出価格を物件検索サイトで調べておこう。売出価格はその1~2割低いところが成約価格になる。成約価格に築年数1年で2%程下がることを考慮し、適正な価格かを判断しよう。そこまで調べれば、適正な価格で、資産性の高い物件が買える可能性は飛躍的に上昇することになる。 

沖 有人 不動産コンサルタント

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おき ゆうじん / Yujin Oki

1988年、慶應義塾大学経済学部卒業後、監査法人系・不動産系のコンサルティング会社を経て、1998年に現スタイルアクトを設立。住宅分野において、マーケティング・統計・ITの3分野を統合し、日本最大級の不動産ビッグデータを駆使した調査・コンサルティング・事業構築を得意とする。設立当初から運営する分譲マンション価格情報サイト「住まいサーフィン」の会員数は30万人以上。『マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新書)、『タワーマンション節税! 相続対策は東京の不動産でやりなさい』(朝日新書)など著書多数。

 

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