イスラエルと連帯する米国は「ガザ虐殺」の共犯者 アラブ世界の怒りあおる鉄壁のイスラエル支援

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「40年にわたって解決策を見いだす希望すらない状態に置かれてきたパレスチナ人の間で蓄積した怒りと憎悪の結果であるということも、理解する必要がある」という言葉の重み(写真:Yousef Masoud/The New York Times)

アメリカのジョー・バイデン大統領がイスラエルを訪問する中、中東ではイスラエルだけではなく、超大国アメリカに対しても、悲嘆と怒りが高まっている。アメリカがイスラエルを中東における最重要の同盟国に位置付け、揺るぎない連帯を表明しているからだ。

10月17日、ガザ地区の病院で大規模な爆発が発生し、治療や避難のため病院に滞在していた数百人のパレスチナ人が死亡したことを受け、イスラエルを非難する声が中東全域に広がった。イスラエルは爆発への関与を否定し、パレスチナ人の武装勢力「イスラム聖戦」がロケット弾の発射に失敗して病院に着弾したものだとしている。

アメリカの支援で行われるパレスチナ人虐殺

だが、病院爆発が起こる以前から、中東では多くの人々がイスラエルとパレスチナ武装組織「ハマス」の戦争は、封鎖されたガザ地区のパレスチナ民間人に対する大量虐殺であり、それはアメリカの支援によって行われていると考えるようになっていた。ハマスは1週間以上前にイスラエル南部に衝撃の奇襲攻撃を仕掛け、1400人を殺害した。

イスラエルは、ガザ地区への水、医薬品、電力の供給を遮断し、同地区に激しい空爆を繰り返している。死者数は、病院が爆発する以前の段階で、少なくとも2800人に達していた。

多くのアラブ人は、アメリカ政府はイスラエルの占領下で生きるパレスチナ人の苦しみに無関心なだけでなく、イスラエルと共犯関係にあると考えている。イスラエルがガザへの地上侵攻を準備する中、アメリカがイスラエルに対する「鉄壁」のサポートと無条件の安全保障支援を打ち出したことで、反米感情の高まりに火がついた格好だ。

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