イスラエルと連帯する米国は「ガザ虐殺」の共犯者 アラブ世界の怒りあおる鉄壁のイスラエル支援
「9.11直後と同じ純然たるイスラム嫌悪感情が、今まさに広がっている。5分間ニュースを見れば、それは明らかだ」と、ハラワ氏。「あれから23年経つが、当時とまったく同じ言葉が飛び交っている。アメリカ人は何も学んでいないのだ」。
ブリンケン国務長官が中東を歴訪する中で、中東ではアメリカに対する苛立ちが高まり、アラブ諸国の独裁者たちが人権についてアメリカの当局者に説教するという異例の光景が見られた。
サウジアラビアの事実上の支配者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、ブリンケン国務長官に対し、イスラエルはガザの封鎖を解除しなくてはならない、サウジは「パレスチナ人の日常生活に影響を与えるようなインフラやライフラインの破壊を決して認めない」と語った。
パレスチナを見捨てる「西側の二重基準」
エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領は、アメリカは数十年におよぶパレスチナ人に対する弾圧よりも、イスラエル人が殺されたことに衝撃を受けているのではないか、とほのめかした。
エルシーシ大統領はハマスによる攻撃について、「もちろん、過去9日間に起きたことが極めて難しい、行きすぎた行動だったのは確かだ。エジプトは今回の攻撃を明確に非難する」とブリンケン国務長官に伝えた。「しかし、今回の攻撃は、40年にわたって解決策を見いだす希望すらない状態に置かれてきたパレスチナ人の間で蓄積した怒りと憎悪の結果であるということも、理解する必要がある」。
ガザに住む27歳のウィサム・アブ・ジャマエさんは、昨年のロシアによるウクライナ侵攻に対する西側の反応と比べると、イスラエルによるガザ封鎖を非難する声は少なく、この差は「筋が通らない」と話した。
「世界が私たち(パレスチナ人)のことを十分に気にかけてくれていれば、私たちはこのような状況には置かれていなかっただろう」。彼女がそう語る背後では、上空でイスラエルの戦闘機が轟音を鳴り響かせていた。「1分ごとにどこかで1つの家族が抹殺され、存在が消されていっている」。
(執筆:Vivian Nereim、Alissa J. Rubin、Euan Ward)
(C)2023 The New York Times
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