グローバル時代の成功のカギはダイバーシティ~「アジア内需」のチャンスを生かす《5》現地を知り尽くすグローバル人材の存在が海外市場成功のカギを握る
海外企業が続々と現地に合った商品を市場に投入する一方、日本企業はひたすらさまざまな機能を製品の中に押し込んで販売しようとした。日本市場で売れた製品も現地では受け入れられず、新興国市場で手をこまぬいているというのが現状だ。
しかし、中には成功している日本企業もある。たとえば大塚製薬の「ポカリスエット」。販売開始当初は伸び悩んだが、その後は毎年30%以上伸び続けている。販売促進策として、同社はイスラム国のラマダン(イスラムの断食月)に着目した。ラマダンの間、イスラム教徒は日没まで水や食べ物を口にできない。そこでラマダン明けにモスクを回り、「ポカリスエット」はサンプルを配布。「ポカリスエットをラマダン明けに口にする飲料」というイメージを強く植え込むことに成功したのだ。
サムスンがグローバル人材育成の一環として、1990年から新興国をを中心に世界中に選ばれた社員を派遣する「地域専門家制度」を導入していることは広く知られている。アジアで成功している企業は、このように現地化を担うグローバル人材育成も行い、「製品」と「人材」双方の現地化戦略を徹底しているのだ。
成長著しいアジアは世界各国にとっても魅力的な市場のため、先進企業が続々と参入し、競争が激化している。熾烈なグローバル競争の中でモノを売るためには、最先端技術や高品質を提供するだけでは受け入れられない。現地の生活習慣にまで深く根付いていくことのできるグローバル人材が不可欠なのである。
パク・スックチャ
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