虎屋が古くならないのは、なぜなのか 正統派和菓子の老舗は立ち止まらない

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縮小

――最近の業界動向をどう見ておられますか。

全国に和菓子屋さんは2万数千社ぐらいあって、全国和菓子協会に加盟しているのが約2200社ですが、後継者難などで縮小傾向です。一方で、最近はコンビニなどでもかなり和菓子を扱うようになっています。現在、全国和菓子協会の会長をしていることもありますが、「和菓子はまだまだ見込みがあるので、皆さんやりましょう」と呼びかけています。いろいろな地域に小さくても地元で愛されている和菓子屋さんはたくさんあるのです。

フランスの菓子職人などは個人の名前で有名になっている人が多いですが、日本の和菓子屋は店の名前で知られています。自分の作った菓子が店として評価されるだけで満足する日本人らしさがありますが、これからは和菓子屋も作り手個人が前に出て、「虎屋の誰々がこれを作った」という動きが広がるようにしていきたいと思っています。昨年からはフランスで和菓子屋を開きたいというフランス人の若い女性が虎屋の職人として働いています。

ようかんを世界へ

――今後さらに長く続く会社にするために、お考えになっていることはどんなことですか。

数年前から、「ようかんを世界へ」と言い続けています。ふと、どうしてチョコレートは世界中どこに行っても親しまれているのに、どうしてようかんにそれができないのだろうと考え始めました。これを言い出して、「和菓子にも世界があるじゃないか」という意識を共有したら、社員のモチベーションも上がってきました。いろいろなことを議論しながら、外国の方にどうやって和菓子に親しんでいただけるか、どう説明したら理解していただけるかを考えています。

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「ようかんを世界へ」と考えることは、虎屋の現状を見直すことにもつながっています。実際、ようかんは中東のお客様にはデーツ(ナツメヤシの実)と食感が似ていることもあって非常に人気があるのです。

こうした発想から広がることはたくさんあると思いますので、社員の一段のやる気にもつながることを期待しています。

会社の将来は究極的にいえば、「なるようにしかならない」ですが、今、自分にできることを一生懸命やろうと思います。次の世代もそう思えば、会社は残っていくのではないでしょうか。

中村 宏之 読売新聞記者
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