"断捨離"と"ヘヤカツ"で人生が劇的に変わる 自分を変えたいなら、部屋から始めよう

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いわさき・なつみ●作家。東京芸術大学美術学部建築科卒。作詞家の秋元康氏に師事。2009年、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』がミリオンセラーに。部屋を考える会代表として『部屋を活かせば頭が良くなる』などヘヤカツ本も。近著に『「もしドラ」はなぜ売れたのか』『競争考~人はなぜ競争するのか』

やました:私たちは包装容器に弱いのかもしれません。包むもの、容れものに執着を持ちやすい。その延長線に収納グッズ、押入れ、家があるのですが。

岩崎:そういえば、コンビニの袋を捨てられない人の部屋も汚い印象があります。

やました:ため込むのは何か不安があるから。家を見ればその人の不安度がわかる。行動療法のようですが、ため込んだモノを捨てれば、心の不安を解消できる。

岩崎:最近は形から入ることが軽視されがちですが、形や型を知らないと、逆に学ぶことが難しい面もある。昔は、子どもが剣道を習うときも型や規範がまずありきで、そこからいろいろなことを学んでいきました。

やました:守破離(しゅはり)ですね。守る最初の型はあってしかるべきで、それを破って離の境地にたどりつく。どんなことでも順番があるのですね。

岩崎:「もったいない」で有名なアフリカ人女性がいたでしょう。

――ノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんですね。

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岩崎夏海氏が代表を務める「部屋を考える会」のヘヤカツ本

やました:「もったいない」の精神が称賛されたために、モノを捨てないで済む言い訳ができてしまった。いい価値観だけれども、いまの私たちには機能しない。でも正義だから逆らえない。

岩崎:そのとおりです。モノがあふれた汚い部屋になってしまったら、もったいないのは空間であり、あなたの人生なのですが。

やました:それに気づいてほしい。必要のないモノを収納する理由はない。

――ところで、かさばる本や資料はどうしていますか。

岩崎:マンションに引っ越しするときに、ほとんど実家に置いてきました。早く片付けろと言われていたのを面倒で放置していたら、怒った両親が勝手に捨てちゃった(笑)。でも、強制的にやってくれてすっきりしました。今は、本棚からあふれたモノは売るか処分しています。

やました:同じです。使い終わった資料は、ありがとう、ごくろうさまと声をかけながら破る。そんな儀式をして捨てています。

岩崎:僕は情報だけが必ずしも大切なものではないと思っていて。

やました:情報を入れない“断”も必要ですよね。断捨離を繰り返していると、必要な情報には出合うようになります。意識が高まってくると、接点がみえてくるというか。

岩崎:僕は映画好きで若いころ見まくったクチですが、急につまらなく感じるようになって、一時期、離れていたんです。でも、最近また見るようになった。何かを続けるうえでは、途中で距離を置く期間があってもいいのかもしれません。

成功するのは「そうならざるをえなかった」から

――おふたりとも、自分の本が爆発的に売れてもそんなに驚かなかったそうですね。

岩崎:意識や感度が高まると、ここをほぐせば多くの人が喜んでくれるという勘所がわかることがある。『もしドラ』を書いたときは、秘密を解き明かしたつもりで有頂天になりましたが、その後が難しい。見えたからといって、見え続けるわけではない。

やました:足し算の解決法である収納術で苦しんでいる人がこれだけ多くいるのだから、引き算の発想である断捨離が、世界に受け入れらないはずがないと思っていました。

岩崎:うまくいくときって、こうなってほしいと願ったからというより、「そうならざるをえない」んですよ。本も売れざるをえなかった。芸能界で成功する人も、兄弟や友達が推薦したケースが意外と多いでしょう。本人がタレントになりたかったのではなく、ならざるをえなかった。

やました:私も断捨離をやらざるをえなかったのですね。

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