問われる存在意義「日本PTA全国協議会」、最上位団体の運営に不満と怒りの声 会員約750万人、子ども1人10円の会費が日Pに

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
各校のPTAを全国レベルで束ねるPTAの最上位団体、公益社団法人日本PTA全国協議会(以下、日P)。加入校のPTA会費の一部を集めて運営されているが、その存在や具体的にどんな活動をしているのか、一般保護者にはほとんど知られていないのが現状だ。日Pの大きな活動として「日本PTA全国研究大会」の開催が挙げられるが、その目的や運営に対しては、実際に関わった保護者から疑問の声も届く。日Pとはどんな団体で、どんなことを行っているのか。存在意義とは何か。日Pと関わった経験がある保護者の声を交えながら、日Pの今とこれからについて考察する。

PTAの最上位団体「日P」の活動資金は各校のPTA会費から

公益社団法人日本PTA全国協議会という組織をご存じだろうか。ひと言で例えるならば、「各小・中学校にあるPTAの最上位団体」だ。

多くの保護者が関わるのは子どもが通う学校のPTAのみだが、各校のPTAは、「PTA連絡協議会」「PTA連合会」「PTA協議会」(以下、P連)などの名称で、市区町村郡→都道府県→全国と連なるケースが多い。市区町村郡のP連の上部団体として「都道府県P連」、「都道府県P連」を束ねる最上位団体として日Pが存在する。

日Pには「ブロックPTA協議会」という下部組織があり、「都道府県P連」は北海道、東北、東京、関東、東海北陸、近畿、中国、四国、九州の9ブロックのいずれかに所属することになる。ちなみに、政令指定都市は都道府県のP連には属さない形で日Pの傘下に入る形になるのが通例で、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市などが当てはまる。

日Pの活動資金の一部は、各校のPTAに加入する保護者が納めるPTA会費から出ていることも、実はあまり知られていない。

各校のPTAが「市区町村郡のP連」に加入している場合、P連の運営資金(分担金)として保護者から収められるPTA会費の一部を支払う仕組みになっている(1児童もしくは1世帯につき年額10円単位〜100円単位)。さらに、「市区町村郡のP連」が「都道府県P連」に加入している場合、収められた分担金の一部(年額10円単位が多い)を都道府県P連に、都道府県P連が日Pに加入している場合は、子ども1人当たり10円の会費が日Pに納められている。

2023年9月現在、日Pの正会員は、各都道府県や政令指定都市の63のP連で、会員規模は約750万人。少なくとも7500万円という金額が日Pに集まっていることになる。

2023年2月に「東京都小学校PTA協議会」が日Pを退会

日Pは、1952年にPTAの全国組織として発足。その後1985年に「社団法人」格を取得したが、2008年の公益法人制度改革により、2013年4月「公益社団法人」に移行した。

本部役員は、会長1名、副会長4名、専務理事1名、常務理事1名、理事8名、監事3名の計18名(2023年10月現在)で、その多くが全国の都道府県P連等で要職を務めたOBで占められている。日Pのホームページによると、教育を本旨とする民主的団体として、下記を掲げて活動している。

・社会教育、家庭教育及びPTA活動の資質向上に資する研究大会、講演会、研修会等の開催及び調査研究
・青少年の健全育成及び福祉増進に資する情報資料の収集及び提供、広報活動
・青少年の国内交流及び国際交流 など

 

しかしその運営については、かねて日Pと関わる各地のP連から疑問や課題を指摘する声が上がり続けている。

2023年3月、東京都の小学校PTAを束ねる東京都小学校PTA協議会は、「日Pは日本PTA全国研究大会(以下、全国大会)の運営に力点を置き、PTAの全国組織としてP連の活動を下支えしているように感じられない。いったんつながりを切ることで、自分たちの活動をできるだけシンプルにしたい」という理由から、日Pを退会。都道府県P連が日Pを退会するのは全国で初めてで、大きな話題となった。

ガバナンスの不在と脆弱な事務局体制が課題

日Pの、何が問題なのか。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事