母親の「子連れ出張」に理解が及ばない日本の現実 やる気があっても「出張できない」母親たちの苦悩

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近年、特に週末に開かれる学会や研究会には、子どもが過ごせる部屋と保育士などのスタッフを手配する「託児サービス」が設けられることが増えている。その点で一般企業より進んでいる面がある。ただし、現地での託児は可能であっても、子どもを連れていくための交通費がかかる場合、研究費ではなく、自費で連れていく必要があった。

これまでも、一部の民間財団などは、子どもを連れて学会などに参加した場合に、子どもの分の交通費を研究費の元となる寄付金などから捻出することを認めていた。しかし、各大学内に出張費の処理を行う制度やシステムが子の帯同を想定していないことが多く、子どもの交通費を研究費から出すうえでの障壁となってきた。

国立大学では、2022年12月に九州大学が「子の出張帯同支援経費の取扱い」について寄付金などの拠出元が認めている場合に子どもの交通費が出せるような仕組みを作った。今回、九州大学に続き、東京大学が制度を作り、今後さらに他の大学にも広がる可能性がある。

子どもが”わらわら”いる学会

今年8月31日から9月3日にかけて沖縄県で開かれた「日本進化学会第25回沖縄大会」。研究者たちが発表する部屋のうちの1つで、9人ほどの子どもたちが、発表者の横のプレイマットでくつろいでいた。発表内容の食虫植物などの映像に子どもたちが釘付けになる場面もあったという。

(画像:Hiromi MatsumaeさんTwitterより)

セッションの名は「進化学者が子を抱えてガッツリ研究発表する。果たして無事終えることができるのか?!」。東海大学・医学部助教の松前ひろみさんと名古屋大学大学院理学研究科講師の石川由希さんがオーガナイザーを務め、5人の発表者中、男性も含む4人が子どもを連れてきて、聴衆側にも子どもを連れてきた人たちがいた。

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