自由診療"やせ薬"の乱発で糖尿病患者が悲鳴 医師1時間当たりのノルマがある場合も

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糖尿病患者への影響は大きく、需要を見誤ったメーカーの責任は重い。しかし実は、事態を深刻にしているもう1つの理由がある。糖尿病患者でない人々が「やせる薬」としてダイエット目的でこれらを使用しているのだ。薬自体は糖尿病向けとして承認されているが、自由診療でなら、本来の使い方以外での処方も認められている。医師には自身の判断で処方する権限があるため、耳鼻科や皮膚科の医師でもGLP-1薬を処方するケースがあるのだ。

15%以上の体重減少効果

「針に抵抗がないのであれば、週1回の注射剤がおすすめです。3本で15%オフになります」

9月上旬、オンラインの自由診療でダイエットについて相談した記者に対し、医師は早口にそう説明した。薦められたのは「オゼンピック皮下注2mg」というGLP-1薬で、提示された3本の値段は約6万3000円。国が定めた薬価で購入すれば1本1万1008円なので倍の値段だ。

オゼンピックはデンマークの製薬会社ノボ ノルディスクが販売する2型糖尿病の薬だ。同成分の飲み薬に「リベルサス」、日本未発売の注射剤「ウゴービ」がある。ダイエット目的の需要が膨らんだ理由はこのウゴービにある。

ノボはGLP-1薬にもともと見られた体重減少効果に目をつけ、肥満症の人を対象とした治験を実施。その結果、6割で10%以上、4割で15%以上の体重減少効果を証明。2021年に晴れて米国で肥満症薬として承認されたこともあり、GLP-1薬全体の需要が急増したのだ。

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