住友金属鹿島製鉄所、津波被害から驚異の猛スピード復旧

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 そして、20日と26日には2つの高炉で順次送風を再開。さらに、大きかったのが29日のコークス炉再稼働。エネルギー源も確保できたことで、他工程の再開に弾みがついた。4月3日には製鋼工場が動き粗鋼生産が再開。上工程が整った。

下工程の再開も随時進んだ。4月5日に厚板が再開。薄板の熱延も12日に稼働。冷延、表面処理も順次動き、25日、製鉄所内の全12工場が操業を再開した。30日には両高炉の全羽口を開き、生産体制は正常化された。

設備復旧、操業に当たり、直江津、和歌山などグループ拠点から350人が応援に駆け付けた。また、提携相手の新日本製鉄から復旧のための施工作業員100人以上の応援もあった。特に、Cガスホルダーなしの操業については、過去に名古屋で同様の経験をした新日鉄のノウハウが役に立った。

所内の火力発電所(IPP)の操業再開も急いだ。地盤沈下でコンベアが壊れたが、超特急で復旧させ3月26日には100%稼働、47.5万キロワットすべてを東京電力に供給している。「被災した火力発電所の中では第1号」(柳川専務)だった。

高炉ガスなど副生ガスを使って発電する東電との合弁、鹿島共同火力は1~4号機、各35万キロワットの能力を持つが、すべて震災直後に止まった。4月16日に1号機を再稼働させたが、震災前に稼働していた3号機と4号機も7月までに再開させる予定だ。東電福島第一原発1号機の能力46万キロワットを考えれば、IPPの47.5万キロワット、半分以上が東電向けに供給される共同火力の各35万キロワットの発電能力も小さくない。電力不足が懸念される夏に向けて、その再開も期待される。

(週刊東洋経済2011年5月28日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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