SBI新生銀株で「村上ファンド」は1100億円稼ぐ? 上場廃止前に株を買い増し、まさかの大量保有

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そもそもエスグラントがSBI新生銀の株式の多くを1株2800円で取得できたのは、強制買い取り価格が1株2800円であるからだ。

いちばん割を食うのは強制買い取りされる少数株主との見方もある。SBI幹部は「(1株2800円という価格は)合理的な計算結果だ」と自信を見せる。だが、もっと高額での株式買い取りを求める株主が裁判に打って出る可能性はゼロではない。

株主平等が改めて論点に

また、強制買い取り後に株式の価値を大幅に向上させないまま政府系株主らに公的資金全額を返すようなことがあれば、一般株主から割安とも指摘される2800円で買い上げた手前、株主を平等に扱う原則に反することになる。

多くの株をかき集め間隙を突いたエスグラントが得をしたという結果になると、株主平等について改めて論点を提示することになるかもしれない。

SBIにとっても痛手になりかねない。予想されるのは、エスグラントの保有分をSBIが買い取る展開。エスグラントが儲けと見込む1100億円は、SBIが余分に負担することになる。

地方銀行との連携を深め、金融グループとして事業を拡大するためのカギとして是が非でも欲しかった新生銀。その入手にかかる費用が予想外の形で膨らんでしまう。

今後、SBI自身の成長戦略を着実に実現するために、より厳しい道のりが待っていることは言うまでもない。

高橋 玲央 東洋経済 記者

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たかはし れお / Reo Takahashi

名古屋市出身、新聞社勤務を経て2018年10月に東洋経済新報社入社。証券など金融業界を担当。半導体、電子部品、重工業などにも興味。

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