10月減税、それでもビールの酒税がまだ「高い」訳 ビールは高級酒?わかりにくい酒税を再考

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

一連の酒税改正に対しては、ビールに課せられた高税率に対抗してきたメーカーの「企業努力を潰す政策だ」という批判がある。

実際、発泡酒と新ジャンルは、ビールの味に近づけつつ、酒税法の「ビール」に当てはまらないように開発された。基本的には原料中の麦芽比率を50%未満まで下げたものが発泡酒。新ジャンルは、麦や麦芽以外を原料にしたり、発泡酒にスピリッツなどのアルコール飲料を加えたりしてきた。

発泡酒や新ジャンルは、発売以降、その安さからよく売れた。これを受け財務省は、これらの製品が市場で拡大するたびに税率を引き上げてきた。ビール業界では、長年「いたちごっこ」が繰り広げられている。

こうした財務省とビール会社の応酬は、2026年にビール類の税率が一本化することでひとまず終結する。

ビール大手5社が会員の業界団体であるビール酒造組合は、一連の改正について、「いたちごっこを終わらせる、バランスの取れた一つの着地点。一方で、今後もビール減税を求め続ける」と話す。

減税しても、ビールにかかる税金は高いまま

日本のビールにかかる税の高さは、諸外国と比べると明らかだ。ビール減税がひと段落する2026年10月以降の数値と比較しても、その額はフランスの約3倍、アメリカ(ニューヨーク市)の約5倍、ドイツの約11倍と大きな差がある。

日本がビールに対してここまで高い税率をかけているのは、昔、ビールは富裕層だけが飲める高級酒とされていたからだ。つまり、高所得者に重い税負担をさせるために定められた税率だった。

このように日本の酒税は、税の「逆進性」を薄めることを1つの目的としてきた。酒類のカテゴリーごとに基本税率が定められており、どの区分に分類されるかによって税負担が変わる。この仕組みのもと、高級酒には高い税負担を、大衆酒には低い税負担を課してきた。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事