「子猫の便に多数の回虫」増える犬猫購入トラブル 紹介サイトに潜む「悪徳ブリーダー」の見極め方

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

回虫は数回の投薬で駆除できましたが、飼育環境を見せてもらわなかったことを後悔したと言います。「回虫がいるほどの飼育環境にこの子がいたのかと思うと、ぞっとする」と話してくれました。

多くの紹介サイトでは「優良なブリーダーを厳選して紹介しています」と謳っていますが、実際はそれほど厳しいチェックは行われていません。法令遵守・動物取扱業登録証の確認と質問事項(お客様対応や生体保証、血統書発行についてなど)の返答の確認程度で、それらの自己申告に問題がなければ、簡単に登録することができます。

飼育環境の確認もほとんどなければ、ブリーダーとしての資質を問うこともない。評判などをリサーチすることもないので、利益優先の悪徳ブリーダーや、知識の乏しい“にわかブリーダー”が紛れ込んでしまうのです。

高評価でも「優良」とは限らない

今年2月、京都府のペット販売会社でブリーダーの社長とその妻が、獣医師法違反と動物愛護法違反の疑いで逮捕されました。

昨年10月に獣医師の資格がないのに犬の帝王切開やマイクロチップの装着を行ったと保健所に通報があり、発覚。チワワ、フレンチブルドッグ、ボストンテリアなど約200匹を飼育し、年間1億円以上売り上げていたとみられています。

筆者が確認したところ、このブリーダーの子犬25匹は、報道があった日もある紹介サイトに掲載されていて、社長は「信頼できる優良ブリーダー」として紹介されていました(逮捕の翌日には消去)。2人は17年ほど前から無免許で帝王切開を繰り返していた疑いもあり、以前からよくない噂もあったようです。

そんなブリーダーを高評価で紹介していたサイト運営側にも、少なからず罪があると考えます。「信頼できる優良ブリーダーを紹介」と謳っているなら、それにふさわしいブリーダーを厳選しなければ消費者をだましていることになります。

問題があったら削除すればいい、ではなく、登録の段階で先手を打ち、その謳い文句にふさわしい審査をしたうえで掲載する必要があるのではないでしょうか。

本来ブリーダーとは、それぞれの団体で定められた犬種・猫種のスタンダード(標準の容姿)を満たすために優れた血統を守り、それを後世に伝える役割を果たす繁殖者をいいます。容姿の美しさだけの追求だけでなく、心身ともに健康な子を繁殖する健全性を備えていなければなりません。

まず、国際的に認知された団体が開催するドッグショー、キャットショーに定期的に参加しています。犬であればJKC(一般社団法人ジャパンケネルクラブ)、猫であればCFA(The Cat Fanciers’ Association)やTICA(The International Cat Association)などで、それらのショーに参加することで、スタンダードを学び、新しい情報を入手し、繁殖に生かしています。

国内外のさまざまなトレーニングや試験をクリアしたジャッジ(審査員)により厳選された犬や猫が、チャンピオンをはじめとするタイトルを取得して、繁殖に臨むわけです。また、ショーに参加することで犬や猫の気質を見分け、適応能力が高く、温和な性格の犬や猫を選択して繁殖します。それらの気質は子犬や子猫に受け継がれます。

さらに遺伝的疾患のリスクを最大限に取り除き、母体への負担を考えた計画繁殖をし、子犬や子猫を健やかに育てるための環境づくりなど、努力を惜しみません。譲渡後も豊富な知識や経験を生かしながら、犬や猫の生涯にわたって飼い主をサポートしていきます。信頼関係が構築されるので、トラブルのリスクはかなり低いです。

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事