視力低下や手術も…「紫外線が原因」の眼の病気 「濃い色のサングラス」は紫外線対策に有効?

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また加齢黄斑変性は進行すると網膜の血管が障害され、ここに新たな血管(新生血管)が伸びてきます。新生血管は急ごしらえの脆く不完全な血管であるため出血しやすく、眼の中で出血が起こることで視力が低下してしまいます。そのため加齢黄斑変性と診断されると、この新生血管を伸びにくくする注射を眼に直接打つ必要があるほか、出血がひどい場合は眼の中の手術となります。なお、加齢黄斑変性は喫煙も大きなリスクとなっていますので、紫外線だけでなくタバコの吸いすぎにも注意が必要です。

これらの疾患の予防のためには、日常的に眼に直接紫外線が当たらないような工夫を行うことが重要です。外出時には帽子や日傘を使っていただくほか、UVカットのサングラスの使用も効果的です。

疾患の予防のためにできること

ここで注意したいことは、サングラスのレンズの色の濃さと紫外線の通しにくさには関係がないという点です。濃い色のレンズは眩しさを確かに軽減してくれますが、眩しさと紫外線は光の波長が異なるため別物であり、紫外線を軽減していることにはなりません。

むしろ色の濃いレンズでは視界が暗くなり、ものをよく見ようと生理的に瞳孔が開いてしまう(散瞳)ため通常よりも多くの紫外線を浴びてしまいます。メーカーによっては透明なレンズながらUVカット効果の高いサングラスやコンタクトがありますので、ぜひ一度調べてみてください。

紫外線は夏だけでなく1年を通して振り注いでいるため、秋冬でも対策が必要です。屋外での活動が長くなってしまったときはまぶたを保冷剤などで冷やし、ディスプレーやスマホ画面を見るのも当日は極力避けて眼を休めましょう。

眼の日焼けは、皮膚の日焼けによるヒリヒリ感や赤みと違い、じわじわと進行するものも多いため気付いたときにはダメージが蓄積されていることも少なくありません。視覚は五感で得る情報の9割を占めているともいわれています。いくつになってもクリアな視界でいられるよう、眼のケアを日常生活に取り入れていきましょう。

上原 桃子 医師・産業医

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うえはら ももこ / Momoko Uehara

横浜市立大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構理事。身体とこころの健康、未病の活動に尽力し、健康経営に関する医療系書籍の編集にも関わっている。医師と患者のコミュニケーションを医療関係者、患者双方の視点から見つめ直すことを課題とし、とくに働く女性のライフスタイルについて提案・貢献することを目指している。

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