異例の盛り上がり「VIVANT」裏方の圧倒的存在感 原作・演出を務める福澤克雄氏はどんな人?
バラエティでは、元テレビ東京の佐久間宣行氏(現フリープロデューサー、演出家)が自身の個性を反映した番組や映画作り、イベント化によるマネタイズなどで実績を作っており、現在はテレビ界を飛び出してメディアで幅広く活躍している。
ドラマでは映画を手がけるテレビ局員こそ多くいるが、ここまで全面的に制作を担う、突き抜けたアイコン的な存在はいなかった。そこに福澤氏が風穴をあけたことは、この先のドラマ界にとって大きな意義があるだろう。
それができたのも、もちろん福澤氏のこれまでの実績があってこそ。TBSは好きにやらせることのリスクよりも、それがヒットし大きなリターンを得ることを確信していた部分もあるだろう。
実際にそれが見事に当たった。数々の伏線をちりばめ、視聴者がドラマの考察を楽しむ、新たな視聴者参加型のテレビドラマフォーマットの成功事例を作り上げることができた。また、本作は福澤氏にとっても、今まで以上に知名度を高めるきっかけの1つになったのではないだろうか。
福澤氏の今後はどうなるのか
今回のヒットから、福澤氏は『VIVANT』の映画化を含めたシリーズ構想を練っているとの報道もある。
そうしたなか注目されるのは、福澤氏のTBS退職後の活動だ。これまでのようなテレビドラマ、テレビ局制作の大規模映画という枠にとらわれない、幅広いジャンルやカテゴリーの映像作品への参入と、これまでの知見を活かしたそこからの新たなヒット創出が期待される。
現在の日本映画界には、是枝裕和監督や濱口竜介監督、黒沢清監督など世界的な評価が高い監督は多い。一方で世界から注目を集めても、制作予算の限られた作品の場合は、日本では大きくヒットしない構造がある。
今年の興行では、「第76回カンヌ国際映画祭」で脚本賞を受賞した『怪物』(是枝裕和監督・坂元裕二氏による脚本)は興収20億円ほどだが、TBS日曜劇場の映画化となる『劇場版 TOKYO MER~走る緊急救命室~』は45億円ほどになっている。
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