異例の盛り上がり「VIVANT」裏方の圧倒的存在感 原作・演出を務める福澤克雄氏はどんな人?

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大規模な予算をかけた海外ロケを含む大掛かりなロケ地の選定から、ナレーションや重厚な劇中音楽まで、制作のほぼすべてに福澤氏の意向が色濃く反映されている。

劇中にも、自身の好きな映画のワンシーンのほか、キャストの過去の代表作の仕草など、演技を含めた過去作、名作へのオマージュがあり、料理や小道具など細かな演出においても福澤節が随所に見られる。

放送開始日(7月16日)に配信されたTBSオフィシャルサイトの福澤氏へのインタビュー記事では、『スター・ウォーズ』シリーズのファンであることを語っているが、砂漠のシーンの風景イメージのほか、まるでダースベイダーとルーク・スカイウォーカーのような乃木卓(役所広司)と乃木憂助(堺雅人)の親子の関係性と、その衣装からも『スター・ウォーズ』を彷彿とさせる。

さまざまな惑星でミッションをこなしながら、次々と進むストーリー構成も似ている。『スター・ウォーズ』旧3部作のラストのように、柚木薫(二階堂ふみ)が憂助の妹だったという展開を期待してしまうファンも多いかもしれない。

ドラマ制作だけではない、コンテンツとの関わり方

監督が自身の嗜好を色濃く反映させる制作手法は、映画ではよくあることだが、公共の電波を使用するテレビ局の連続ドラマとして、ここまで振り切るのは珍しい。来年定年退職する福澤氏への、TBSからの最後の作品としてのはなむけとも伝えられているが、福澤氏の人脈と経験値、スキル、エンターテインメント感度がなければ作れなかったドラマになっている。

VIVANT
福澤克雄氏(写真:TBS公式サイトより)

ただ、そんな恵まれた環境であっても、そこには責任が生じる。なにより桁外れの大きな予算の責任を背負う胆力と、それを楽しんで乗り越える人間性の大きさがある福澤氏だからこそ作り上げることができたエンターテインメントショーと見るほうが正確だろう。

そんな福澤氏が登壇するファンミーティングが東京・IHIステージアラウンド東京にて9月17日に開催されるほか、福澤氏と島根県のロケ地をめぐるツアーも企画されている。福澤氏はドラマ制作にとどまらず、コンテンツとしての360度ビジネスにも、自ら積極的に動いている一面もある。

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