そしてそれから数カ月後、チリでは学生たちが政府に対して立ち上がり、新憲法を要求した。そして2022年3月、36歳の左派連合・チリ連合の新大統領ガブリエル・ボリッチ(1986年~)が大統領になる。
アジェンデは、自殺した日「われわれがまいている種は、けっして埋もれることはないと、思う」と述べていた。
アジェンデがまいた種
もちろん50年の時を経てアジェンデのまいた種が今後どう発展するかは、不明である。新大統領はアジェンデと同じく、議会の反対勢力と対立している。ただ、チリを含むラテンアメリカ諸国は今、アメリカに対してしっかりとものを言える状態になりつつある。
2023年8月に南アフリカで開催されたBRICS首脳会議では、加盟国の拡大が行われた。彼らの生産力や人口を見る限り、もはや1970年代のような弱小国の集まりではない。インドでG20が開催されたが、西側資本主義は、かつてのように圧倒的な政治力、軍事力、経済力で世界を牛耳ることが、今ではできなくなっている。
1973年9月11日は西側資本主義の挽回をもたらしたが、2001年9月11日は再度、非西側諸国の復活を生み出したのかもしれない。今後、世界は非西側諸国によって動いていくだろうことは、おそらく間違いないだろう。
それがどういった体制を生み出すかわからないが、アジェンデのまいた種は、しっかりと大地に根付いていたのかもしれない。カール・マルクスが著した『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』の言葉を使えばこうだ。
「掘り返したぞ、老いたモグラよ!」
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