ビンラディン殺害、世界は何におびえたのか


同時多発テロの首謀者で、国際テロ組織・アルカイダの最高指導者とされたオサマ。が、04年前後から腎臓を患っていると伝えられ、実際にその後はテロ活動の指揮を執っていたのか、疑問視されている。一部報道によると、すでに米CIAは10年9月ごろ、オサマが潜伏していた邸宅を突き止めていたという。なぜ5月まで、米国がオサマの身柄拘束をしなかったか、疑念は尽きない。米大統領選挙の政治日程をにらんでいた、と考えるのはうがちすぎか。

オサマの究極の目的は米のサウジ撤退だった?

米国はオサマとアルカイダを、「モロッコからペルシャ湾まで広大なカリフ(=イスラム教の宗教指導者)帝国を作ろうとしている。オサマはアフガニスタンからソ連を、サウジアラビアから米国を追い出した」(米安全保障関係者)と位置づけた。とはいえ、この発言は米国の敵を大きく見せ、「テロとの戦い」を正当化する意図があるように思える。実際、アラブ動乱ではオサマとアルカイダが何の存在感も示せずに、もはや「過去の人」となっていた。

オサマとアルカイダが、スンニ派イスラム原理主義運動と国際テロ活動に、イノベーションをもたらしたことは事実だ。インターネットなどの新たな通信手段や衛星テレビによる宣伝、国際金融を活用したマネーロンダリングなどがそうだ。しかし、これらはオサマがアフガニスタンでソ連と戦っていたとき、米国が伝授したノウハウが基になっている。

当初は米国とサウジの側に立ち、ソ連と一戦交えていたオサマ。ところが、1990年のイラクのクウェート侵攻で米軍がサウジに駐留することに強固に反対し、サウド王家ともたもとを分かつ。周知のように、サウジにはメッカとメディアという、イスラム教の二大聖地がある。異教徒の軍隊が駐留することに、オサマは耐えられなかったに違いない。

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