オーケー銀座進出、公取調査終了で透ける「変節」 地域いちばんの安さと"お行儀"は両立できるか
こうした報道があるたびに、メーカーと流通業者のどちらが主導権を握るのかという議論が出る。オーケーもメーカーや問屋を脅かす存在である一方、消費者側の立場に近いとの見方もできるだろう。
オーケーの店頭には「オネスト(正直)カード」が掲げられている。商品に関するネガティブ情報を正直に伝えるのが目的だ。甘くないミカンなら「甘くない」と正直に書くし、不作で相場高騰の野菜に関しては、急いで食べる必要がないなら「やめたほうがいい」と伝える。値上げ前の商品には「容量が少し減るから、今のうちに買ったほうがお得」と書く。
一般的に流通はブラックボックスだらけだ。少々傷んでいても、おいしくないとわかっていても、ネガティブ情報を隠して売る店は少なくない。販売価格も店ごとに異なる。昔ならば八百屋の店主が「このスイカ、あんまり甘くないよ」と来店客に口頭で伝えていた情報開示を、オーケーはスーパーの店頭で形を変えて行っている。
店頭からキリンや花王の商品が消えた
オーケーはディスカウントスーパーへ形を変えた1986年以来、地域いちばんの安値を目指してきた。店頭POPには「他店より高い商品がございましたら、お知らせください。値引きします」と掲示しているのも特徴だ。
オーケーを安いと認識している消費者は多く、実際に安く提供するために昔からあらゆる対策を講じてきた。あるメーカー幹部は「安く売りたくても、メーカーや問屋を買いたたくことは現実的には難しい。結果として独禁法違反まがいの交渉をしてくるのは、何もオーケーに限ったことではない」と苦慮する。
だいぶ前の話だが、キリンホールディングスのビール商品がオーケーの店頭から消えたことがあった。完全撤去だと目立つため、一部商品は残したとみられる。キリンといえば清涼飲料水、アルコール類など売れ筋商品が多く、店頭から外すわけにはいかない。しかしオーケーとしては小売りのバイイングパワーを誇示し、メーカーへの圧力を強めようとしたことが透けて見える。
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