水を買う時代に「サントリー天然水」が首位の訳 平成元年より40倍に拡大した水市場

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企業現場では「ブランドは人格を持つ」ともいわれる。その視点でいえば、“真面目だった人(天然水)が弾けて(炭酸水)色がついた(果実飲料)”という流れになる。

前出の平岡氏は、「天然水ブランドの性格上、採水地の環境保全に取り組むなど真面目に思われていた一面もあります。それは大切にしつつ、本体以外の商品では新しい提案をしてきました」と好調理由を分析する。

大容量の水を常備する家庭が増えた

ところで、今では2リットルの大容量の水(ミネラルウォーター)を常備する家庭も多い。1989(平成元)年と2022(令和4)年の数量を比較すると約40倍になっている。

1989年

11万7279キロリットル(国内生産10万1000キロリットル/輸入1万6279キロリットル)

2022年

471万0961キロリットル(国内生産446万1325キロリットル/輸入24万9636キロリットル)

(日本ミネラルウォーター協会調べ/輸入資料は財務省関税局 日本貿易統計)

さらに1人当たりの消費量もこの十数年で増えた。これには大災害も影響している。

「2011年に東日本大震災が起きてから、ミネラルウォーターの市場は一気に拡大しました。被災地以外でも備蓄意識が高まったのです。水は常備すべきライフラインと認知され、買ってもすぐ飲まないで保管する家庭が増えました」(平岡氏)

それ以前から増加していた市場だが、震災後に被災者が水の配給に並ぶ姿が報道され、水を常備する人も増えたのだろう。日本ミネラルウォーター協会の同調査では、震災前の2010年の約252万キロリットルが、2011年には約317万キロリットルとなり、2018年に400万キロリットルを超えた。近年も地震や台風、大雨が相次ぐ。平岡氏は「2020年からのコロナ禍もそうですが、社会不安になると2リットルの水が売れる傾向にあります」と話す。

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