ゴムタイヤ式も模索、日本の路面電車進化の軌跡 各地に新型超低床車普及、宇都宮に新規開業
近年は、各地の路面電車で客室床面の高さが極めて低い「超低床車」の導入が進んでいる。超低床車はヨーロッパで1980年代から急速に普及し、ドイツやフランスなどのメーカーが製造した車両が主要都市から地方都市までに広がっていった。
我が国で初めて採用したのは熊本市電で、1997年8月に営業運転を開始した9700形が日本初の超低床電車である。これはドイツのシステムで、次いで前述の広島電鉄5000形が続いた。熊本市電9700形の流れをくむ車両としては富山の超低床車や福井鉄道F1000形、そして芳賀・宇都宮LRTのHU300形などがある。
国産初の超低床車は2002年に登場した鹿児島市電の1000形で、その後は国産技術の車両導入も増えている。福井鉄道F2000形は国産の超低床車だ。
ゴムタイヤ式は広がらず
路面電車活性化の中にはユニークな試みもあった。ゴムタイヤで走るシステムの試験だ。大阪の堺市には2005年、フランスのロール社が開発したゴムタイヤ式路面電車「トランスロール」の試験線(トランスロール堺浜試験線)が設けられ、トランスロールSTE3型がテスト走行を重ねていた。
これは路面に1本だけガイド用のレールを設置し、走行はゴムタイヤで行うというシステムで、堺市で当時計画が進んでいたLRTシステムでの採用や国内での普及を目指したものだったが、一般的な鉄道や路面電車との相互乗り入れができないことなどから、結局は日本では採用されなかった。欧州では現在も運行しているが、アジアでは中国の天津と上海に相次いで導入されたものの、上海は廃止、天津も現在運休のようで、あまり浸透したとはいえない。
いまや国内各地に普及した超低床路面電車は、日本の都市交通の将来を担う大切な交通機関である。各地の新鋭車両の姿は写真の一覧からご覧いただきたい。
これらの車両が走るさまは、その街の未来の姿が見えてくるようで筆者としては頼もしく思え、今回の芳賀・宇都宮LRTはぜひとも成功を収めていただきたいとエールを送るものである。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら