ゴムタイヤ式も模索、日本の路面電車進化の軌跡 各地に新型超低床車普及、宇都宮に新規開業
広島電鉄はモータリゼーション全盛で路面電車の廃止が相次いだ時期の1971年に、軌道敷内への乗用車乗り入れを禁止して電車の定時運行を実施。全国各地の廃止された路面電車から譲り受けた車両を走らせて「走る電車の博物館」として知られる一方、1980年代以降は新型の大型連接車を次々に導入し、近代的な路面電車の姿を知らしめた。
さらに1999年には、低床式路面電車の本場ドイツ・シーメンス社製の完全超低床車両5000形「グリーンムーバー」を導入。日本では珍しい海外製車両、さらに全長約30mの大型連接車は注目を集めた。続いて2005年には、純国産の完全超低床車両である5100形「グリーンムーバーmax」を導入。その後も2013年に3車体連接の1000形「グリーンムーバーLEX」、さらに5100形を改良した5200形「グリーンムーバーAPEX」と超低床車の導入を続け、全国の路面電車のよきお手本となっている。
北陸は路面電車先進地だ
福井鉄道は1963年以降モータリゼーションの影響で赤字が続き、数ある路線を次々に廃止して現在はたけふ新と田原町・福井駅間の福武線を運行している。同線はもともと路面区間を一般の電車が走っていたが、2006年に車両を元名鉄の路面電車に置き換え、さらに県の助成も受けて2013年から低床式のF1000形「FUKURAM」を4編成導入。2016年にはえちぜん鉄道との相互直通運転を開始。同時に福井駅前電停を福井駅西口広場まで延伸して一気に飛躍をはたした。2023年3月には新型のF2000形1編成を導入し、さらなる活性化を図っている。
路面電車の活性化といえば、富山の存在も非常に大きい。2006年4月、JR富山港線を引き継いでLRT化した「富山ライトレール」が運行を開始、超低床車両が走る姿は地方交通の新しい姿として全国的に注目を集めた。LRTという言葉が一般にも浸透するようになったきっかけといえよう。
その後、富山駅をはさんで反対側の南側を走る既存の富山地方鉄道の市内線でも2009年に環状線が開業し、バリアフリーの超低床車「セントラム」が登場。さらに、2020年にはJR富山駅の高架下をくぐって南北の路面電車を接続、富山は新時代の路面電車王国となっている。
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