20年で9630万貯金、45歳彼が節約に目覚めた必然 氷河期世代は『カイジ』の世界に自分を重ねた

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私はそれが怖くて耐えられないです。リーマンショックという大きなリセッション経験しているから、下がったときに本当に居ても立ってもいられないんで。だから心の安定を取りました。今の割合だと20万円とか30万円の変動しかないんで、安心して寝られる状態です」

株価が右肩上がりでも…

今は“FIREブーム”とも言われ、若いころから投資などでお金を貯め、FIREを目指して積極的に投資をする人が増えている。資産の9割を株に入れるような人も珍しくない。

「個人的には、あまりにも過大に金融リスクを取るのは心配ですね。下手をすれば今あるものすら失いかねない。そこに違和感を覚えるわけですよ。そこまでリスクを取らなければ、少なくとも今ある生活は守れるはずなのに」

大きなリセッションを経験したからこそ、見方が変わったという。それは理論というよりも、人間心理の話だ。

「長期的にプラスと頭でわかっていても、平静ではいられないと思います。落ちるときは何百万円とか1000万円とか含み損が出るわけで。そうすると、ちょっと回復した頃、マイナス1000万円がマイナス600万円ぐらいまで回復する瞬間があると、『もうここでいいわ!』と売っちゃうんですよ普通は。マイナス1000万円がプラス1000万円に復活するまで持っていられる人ってそんなにいるのかなって、経験した中では思いますね」

含み損の状態で、精神的に耐えきれるかどうか。精神力の強靭さが試されるのであり、人間はそんなに強くないという。

「またカイジに例えちゃうんですけど、今の右肩上がりでの投資って、横断歩道の白線の上を歩くような感覚で。それが大きなリセッションになると白線の上じゃなくてあのカイジの鉄骨渡りになるわけですよ。理論上はまず渡れるはずなのに、恐怖や不安で判断ミスをして9割ぐらい落ちてしまう」

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